東京都東村山市は、25日、新型コロナウイルスによる肺炎で3月29日に70歳で亡くなった志村けんさんを名誉市民に選定した。

この日行われた市議会6月定例会で議案が提出、審議の上、採決では25人の議員が起立する満場一致でされ、可決された。志村さんの長兄の知之さん(73)が代理授与された。

可決後にそのまま、議会で顕彰式が行われ、次兄の美佐男さん(72)も出席のして、知之さんや渡辺市長があいさつを行った。知之さんは渡辺市長のあいさつ中や、自身のあいさつ中に涙をぬぐう場面もみられた。「光栄なことだと思います。本人に代わりまして御礼申し上げます」と感謝した。知之さんは、志村さんが東村山市政50周年の際に名誉市民の依頼を受けたが、東村山市に住んでいないことや照れなどもあり、本人が断っていたことも明かした。その上で今回は「東村山に帰ってきた。永遠に東村山の方に眠ることになったものですから、名誉市民を受けてもいいかなと判断した」と話した。志村さんの葬儀は4月11、12日に東村山市内で身内のみで行ったといい、先祖代々の墓に入ったという。「両親と一緒に3人でいろんな話をしていると思います」と語った。

また、顕彰式の最後には、知之さんが、「皆さんで一緒に」と志村さんの代表的なギャグ「アイーン」を会場全員に“依頼”。議員も全員起立し、一体となって知之さんのかけ声のもと「アイーン」を行い、温かい雰囲気に包まれた。

式後の記者会見で知之さんは「うれしいなという。あと、シャイな人間ですから、照れると思います」と志村さんの気持ちをおもんぱかった。そして「アイーン」については「議会の神聖な場ではどうかなと思ったんですが、記念になると思ったので。みなさん一緒にやってもらったんで、うれしかったです」と笑顔を見せた。

渡辺尚市長は19日に志村さんを名誉市民とする議案を市議会に提出すると発表していた。

市によると、志村さんが地元の「東村山音頭」をユニークな衣装と独自のメロディー、歌詞で披露したことで一大ブームを起こし、東村山の地名を全国に広めたことや、志村さんが万人に愛され続けた喜劇王であることなどの功績をたたえ、東村山市民が郷土の誇りとして深く尊敬に値すると認められることから、今回の選定にいたったという。

志村さんの死去後、市のホームページには追悼メッセージが約2万2000件届き、「志村さんを名誉市民に」「記念碑を作ってほしい」という声も多く寄せられていた。