松竹は29日、東京・歌舞伎座の公演を8月1日初日の「八月花形歌舞伎」から再開すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月以降休演しており、5カ月ぶりの興行となる。俳優、スタッフは全員、来月中に抗体検査を受け、再開に備える。

松本幸四郎(47)はこの日ブログで「歌舞伎座に立つことができないかもしれない。歌舞伎がなくなってしまうかもしれない。常に頭の中をよぎっていました。なくしてたまるものか、必ずすべての歌舞伎スタッフと笑顔で再会できるようにする! 動き続けてきました。新たな時代の幕開けです。心してつとめたいと思っています!」と喜びをつづった。

公演は4部制で、各部1演目。ロビーでの談笑やトイレに並ぶなどの密を避けるため幕あいは設けない。完全入れ替え制で、約1時間かけ、換気、消毒、清掃を行う。

発表された演目、俳優は、第1部は片岡愛之助らの「連獅子」、第2部は中村勘九郎、中村扇雀らの「棒しばり」、第3部は市川猿之助、中村七之助らの「吉野山」、第4部は松本幸四郎、市川中車、片岡亀蔵、坂東弥十郎らの「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし) 源氏店」。それぞれ1演目の出演で、他演目に出演する俳優との接触もなるべく避ける。

1808人収容(幕見席除く)のところ、前後左右を空け、1、2階桟敷席も使用しないので、823人で満員となる。声掛けの自粛を要請するなど、かつてない形での公演となるが、歌舞伎座に歌舞伎が戻ってくることが大きい。