新型コロナウイルスの感染拡大を受け、戦後初の東西長期休止中だった宝塚歌劇が17日、約4カ月ぶりに兵庫・宝塚大劇場の花組公演で公演を再開した。

花組新トップ柚香光(ゆずか・れい)の本拠地お披露目「はいからさんが通る」が開幕し、宝塚では130日ぶり。3月22日の東京宝塚劇場雪組公演からは、117日ぶりの宝塚歌劇上演となった。

再開を迎え、柚香は、相手娘役の華優希(はな・ゆうき)とともに取材に応じ「このように公演を再開させていただけることに心から感謝しております。皆さまの気持ちを裏切ることがないように務めて参りたい」。17年に主演した自身の代表作のひとつでトップとしての歩みを始めた。

前日16日に大劇場で行われた通し稽古には、かつて花組に在籍していた雪組トップ望海風斗(のぞみ・ふうと)ら、生徒の姿も多くあった。客席の収容制限や、稽古場、楽屋での密回避の工夫など、演劇界には課題も山積する。

柚香は、これらを思い「私たちの公演が、どのように日々を重ねていけるかによって、宝塚だけではなく、エンタメ業界に影響してくると思う」との責務も口にした。

自粛期間中は、買い物以外はほぼ外出せず、自宅で自主レッスン、リモートを駆使した個別稽古を重ねてきた。6月上旬には組長を中心に、活動指針のガイドラインを提案し、劇団と協議。2人以上での食事を自粛し、再開へ備えてきた。

柚香にとって、トップ本拠お披露目となった今作は、3月13日開幕予定から4カ月遅れの開幕。当初は上演予定にあわせ2月上旬から稽古を始めたが、緊急事態宣言を受け、いったん稽古は停止。自粛期間をはさんで、6月30日から組での稽古を再開した。

最初の稽古日から考えれば半年近い月日が過ぎていた。やっと迎えた幕開けは組長高翔みず希(たかしょう・みずき)のあいさつでスタート。続けて、柚香が公演開始を告げた。

劇団によると、芝居の演出そのものには、大きな変更点はなかったが、2種類用意されているフィナーレは、密を配慮した演出に変更された。エンディングでは70数人いる組員を60人弱まで絞り、間隔をあけるようにしたといい、その中で、柚香は初めてトップの大羽根を背負い、大階段を下りた。

「皆さまの笑顔が見えた瞬間、何にも代えがたい愛にあふれた空間でした。羽根の華やかさに、自分が押しつぶされないような芯をもって背負いたい」

再開幕開け作として、トップ本拠初作品として、複数の意味を持つ重さを背に、宝塚も再開へ、柚香自身も第1歩を踏み出した。