いよいよ、8月1日から歌舞伎座で歌舞伎公演が再開する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月以降休演していた歌舞伎座で5カ月ぶりの興行となる。先日、同所で「八月花形歌舞伎」の制作発表会見が行われ、松本幸四郎らが出席した。

喜びと同時に、緊張感を感じた会見だった。中村勘九郎は「責任ある行動を取らないと、今後の歌舞伎公演に影響が出る」と気を引き締め、市川猿之助は「初日が開けられる保証はありません。これからの状況を見守りたい」と、新規感染者数が増加傾向になってきたことを気に掛けていた。

専門家による劇場全体のチェック、アドバイスを受け、関係者は換気システムに胸を張った。役者、スタッフ、観客の劇場滞在時間を短くするため初の4部制を取り入れた。パンフレット、弁当、みやげ物の販売はなく、飲み物はドリンクコーナーで水かお茶程度にとどめる。イヤホンガイドの貸し出しも行わなない。掛け声、出演者の入り待ち、出待ちも禁止だ。座席も、前後左右を空けるほか、1、2階桟敷席、花道横の数列も販売しないという徹底ぶりだ。

ここまで気を使っても、緊張感が走る。役者、関係者たちが、「歌舞伎座で歌舞伎が始まる」ということの意義、責任を感じているのがひしひしと伝わってきた。