フジテレビが7月31日に、プロレスラー木村花さん(享年22)が死亡した恋愛リアリティーショー「TERRACE HOUSE TOKYO」についての検証結果を報告した。

自殺とみられる木村さんの死から2カ月以上。率直な感想は「遅い」だ。

フジテレビは外部の人間による「第三者委員会」を設置せずに、内部で選任したメンバーに専門家を加えて検証した理由を「詳細かつ迅速に検証を行うため」と説明しているが、最初から「詳細かつ迅速に検証ができる第三者委員会」を設置する努力を放棄している。これでは、世間の理解を得られにくい。

木村さんは、番組内容から寄せられるSNS上での誹謗(ひぼう)中傷に悩んでいたという。フジテレビは「もっと適切なアドバイスを送るべきだった」と報告しているが、公式ホームページ上で発表された「事実」からは真実は見えてこない。第三者委員会相手では「調査対象が発言を控えたりする懸念がある」としているが、これでは“勇気ある告発者”は出るすべもない。

木村さんはSNS上で「悪役」などと言われていたりもするが、ラフファイターではあったが、卑劣な反則技をつかう悪役ではなく、大きな声援を浴びる人気者だった。アイドルと見まがうような女子プロレスラーが多くなっている中で、強そうで華がある日本の女子プロレスの未来を背負って立つ逸材。世界にも通用する才能を持っていた。

今から10年近く前、子供の頃から憧れていたプロレス記者になれた。男子のプロレス取材がほとんどだったが、東京・水道橋の後楽園ホールで昼は女子、夜は男子の興行が行われる時は、女子プロレスも取材した。また、団体によっては男子の試合と女子の試合を前後して組むことも、男女入り乱れて戦うミックスドマッチもあった。

当時から、女子プロレスはAKB48かと見まごうようなアイドルみたいな選手が多くなっていた。その中で異色だったのが、花さんのお母さんの木村響子選手(43)だった。

アイドルもどきレスラーの中で、アフロヘアの響子選手はバナナを口にくわえて「ウホッ、ウホッ、ウホッ」とゴリラキャラで会場のファンの声援に応えながら入場。88年にプエルトリコでトラブルから刺し殺された“キングコング”ブルーザー・ブロディ(享年42)に対するオマージュだった。デスマッチや総合格闘技にも挑み、関節技の「キムラロック」やブロディ並みの「ビッグブーツ」といったファイトスタイルは「スゲエな、こいつ」とうならせられた。

響子選手は17年に引退したが、娘の花さんがプロレスラーになった。世界でも活躍した、レジェンドレスラー武藤敬司の指導を受けてプロレスの世界に入ってきた。

担当を外れると、なかなか試合を見る機会がないのだが、花さんの試合はYouTubeでチェックしていた。特に注目したのは、そのシューズ。グリーンだったり、レインボーカラーだったりしたが、いつもフワフワのファーが付いて華やかさが増していた。母がスタイルに取り入れたブロディの毛皮ブーツのおしゃれ版だ。

花さんは「TERRACE HOUSE」をめぐる、今の混迷をどう思っているのだろうか。早くスッキリしてほしい。