東京・歌舞伎座が1日、「八月花形歌舞伎」(26日まで)で156日ぶりに公演を再開した。新型コロナウイルス感染防止のため、4部制で劇場滞在時間を短くし、密を避ける対策が取られている。

午前11時、第1部「連獅子」の幕が上がり片岡愛之助(48)らが登場すると、禁止された「かけ声」の代わりに、拍手がひときわ大きく、長く続いた。出演者は距離をとって演じ、長唄、鳴物の奏者、後見は黒い特製マスクを着用した。

第4部「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし) 源氏店」に出演した松本幸四郎(47)は「待っていただいた方がいらっしゃったからこそ、この日を迎えることができました。感謝の気持ちと、舞台に立てる喜び、幸せを感じると同時に責任感もあります。歌舞伎のために何ができるのか、皆様の生活の中に歌舞伎がどうやったら存在できるのか、引き続き考えていきたい。新しい時代の新しい歌舞伎の初日だと思います」とコメントした。

入場時に手指を消毒、検温を行うほか、公演中も扉を開放して換気を促す。各部出演者とスタッフ約100人は総入れ替えし、ほかの部との接触を回避する。

ほかに第2部は中村勘九郎らの「棒しばり」、第3部は市川猿之助、中村七之助の「吉野山」。幕が下りるたびに観客からの拍手はしばらく続き、松竹の迫本淳一社長は「カーテンコールを求める観客の皆さんの拍手に感動しました」と話した。