俳優渡哲也(わたり・てつや)さん(本名・渡瀬道彦)が10日午後、肺炎のため亡くなったことが14日、分かった。78歳。40年来の交流があったキャスター、みのもんた(75)は、1週間前に電話で話したことを明かし「僕にとって大切な兄でした。とてもショックです」と胸の内を語った。

毎月、渡さんから必ず電話があり、雑談を交わす仲だったという。「『バカな弟が心配だ』と言って、僕のことをいつも気にかけてくれた。1週間前に話した時も、酸素吸入しながら呼吸がつらそうで、しゃべるのが苦しそうだった。僕はちゃんと家にいるから電話はもういいよと伝えたら、『家にいるといってもチョロチョロするのがお前だから』って笑って。本当に優しい人なんです」。

出会いは41年前。みのが文化放送を退社し、フリーになった時だった。それぞれ別のグループで銀座のクラブを訪れた際にあいさつを交わした。「渡さんはそうそうたる方たちと一緒でした。こちらはフリーになったばかりのラジオアナウンサー。ほかの方たちはみんな座ったままだったけど、渡さんだけ立ち上がって、『1度お会いしたかったです。渡です』って。惚れちゃうよね。緊張したけど、本当に感激した」。

月に1度の電話を欠かさず、毎年夏には箱根でゴルフ合宿をした。8年前、みのの妻、靖子さんが亡くなった時には、葬儀の日程を外し、わざわざ夫婦で鎌倉の自宅にお悔やみに来てくれたという。「奥さまが『恥ずかしくないから泣いていいのよ』って。あそこは夫婦そろって素晴らしい人たちなの」。また「僕の家に来て『くちなしの花』を歌ってくれたこともあったし、料理が上手であれこれ作ってくれたこともある」と懐かしんだ。

体調が優れない中でも、いつものように最後の電話をくれたことに「どこまで優しい兄貴なのかと」と語り、「まだ心の整理がつかないけれど、話ができてよかった」と話した。