ステージ4の口腔(こうくう)がん(舌がん)で、舌の6割を切除した堀ちえみ(53)が23日、日本テレビ系で放送された「24時間テレビ43」で19年2月に手術を受けて以降、初めて歌唱を披露した。堀は東京・両国国技館のステージに立つと、画面を通して親衛隊のエールを受けて「ありがとう」と言い、目に涙を浮かべた。そして85年の「リ・ボ・ン」を歌った。背後のスクリーンには、自身の若き日のステージの映像も映った。歌い上げると、右手でOKポーズを出して、笑みを浮かべた。そして「どうも、ありがとうございました。みなさんに感謝しております。うれしかった」と涙を流した。

堀は、1981年(昭56)にホリプロタレントスカウトキャラバンで優勝して芸能界入りし、82年に「潮風の少女/メルシ・ボク」で歌手デビュー。同期には小泉今日子、中森明菜、早見優、松本伊代、石川秀美らがおり“花の82年組”と呼ばれ、83年のTBS系「スチュワーデス物語」で人気を不動のものとした。

その後、89年に結婚し3児をもうけたが99年に離婚。00年には再婚し2児をもうけたものの10年に2度目の離婚を経験し、11年に3度目の結婚をすると、夫の子を含めて7人の母となった。子育てで多忙な中、歌を続けてきたが、19年2月にブログで口腔がんに加え、左手首のリンパ節に転移していると発表。舌がんは手術をしなければ生存率50%という状況だったが、11時間に及んだ手術で太ももの皮膚を舌に移植した。

術後は、うまくしゃべることが出来なかったが、娘の彩月さんの「芸能界に復帰しないとダメ。お母さんにはたくさんのファンの人が待っている」という言葉に救われたという。復帰を祈るファンから寄せ書きも送られ「応援してくれていると思ったら、こんなところでストップしてちゃダメだなと思って、絶対に歌いたい」と決意し、手術から5カ月後にボイストレーニングを開始した。「24時間テレビ43」で歌った「リ・ボ・ン」は、アイドルとして低迷していた時期に、もう一度生まれ変われるようにと「reborn(再生)」という意味が込められた楽曲だった。

堀は歌唱後、ブログを更新し「24時間テレビの生放送を終えて、感謝の気持ちでいっぱいです。レッスンを重ねてきて、しっかりと歌うために、ずっと調整していました」と振り返った。その上で「本番で歌前のVTRは、まさかの風間杜夫さんのナレーション」と、「スチュワーデス物語」で教官役だった、風間の粋な計らいを喜んだ。

そして「これからがスタートです。当初の目標であった、デビュー40周年記念ライブに向けて、引き続き精進して参ります。『諦めなければ願いは叶う』いろいろと大変なこともありますが、前を向いて頑張って行きます」と、デビュー40周年記念ライブの開催に、強い意欲を示した。