米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは、人種や性別などの多様性を反映させるべく、2025年に開催される第96回アカデミー賞授賞式から作品賞の選考に新たな基準を設けることを発表した。

アカデミー賞をめぐっては、15年の授賞式で俳優部門にノミネートされた20人全員が白人だったことから「白すぎるオスカー」と批判されるなど、近年は多様性の欠如が問題視されていた。変革が求められてきた同アカデミーは、民族的少数派(マイノリティー)や女性の起用を促すため、作品賞の選考対象になるには俳優のみならず製作やマーケティングスタッフなどにも一定の割合で有色人種や女性、性的マイノリティー、障害者を起用することなどの条件を設けることが示された。

主役または重要な役どころとなる助演俳優のうち少なくとも1人は黒人やアジア人、ネーティブアメリカンなどマイノリティーの俳優を起用することや、作品のテーマが女性や性的マイノリティー、障がい者などを描いたものであること、製作スタッフの少なくとも30%に女性やマイノリティーを起用することなど4つの基準のうち2つを満たす必要があるとしている。

同アカデミーは4年前から投票権を持つ会員の多様化にも取り組んでおり、今年6月に新たに会員に加わった819人のうち45%が女性、36%が非白人であることも発表されている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)