俳優生田斗真(35)が11日、都内で第38回(2019年度)向田邦子賞贈呈式にゲストとして出席した。

同賞は、毎年4月1日から翌3月31日までに放送されたテレビドラマの優れた脚本家を表彰するもの。

19年度は、生田が昨年10月期に主演した日本テレビ系連続ドラマ「俺の話は長い」の脚本を担当した金子茂樹氏が受賞。生田が櫨山裕子プロデューサーとともに駆けつけて祝福した。

金子氏は受賞スピーチで連続ドラマの脚本について「肉体的にも精神的にも非常にきつい作業」といい「書き始める前に長丁場に耐えられるようにと半年間、毎月100キロ以上走り込みをしまして、去年の2月にはフルマラソンの大会にも出場しました」と並々ならぬ準備をしていたことを告白。

30分2本立てという新しい試みだった同作。「話のネタもオチも2倍必要と言うことで、本当にアイデア出しには苦労しました」。

台本を仕上げるのが遅れ、撮影の2、3日前に大量のセリフを渡すことも多々あったといい「あの素晴らしいキャスト陣と優秀なスタッフがいたからこそ、最後まで妥協なく台本を書けたんだろうと思いまして感謝しております」。

ストレスからか、頭をたたく癖がつき、最終回を書き終わって1カ月後に「硬膜下血腫」という脳に血がたまる病気になってしまい、手術したことも明かした。

祝福のスピーチで生田は「文字通り、命を削って書かれた脚本がこうして素晴らしい賞をいただけたこと、自分のことのようにうれしく思います」と笑顔を見せた。

そして「役者にとって良い脚本家に出会えること、そして良い脚本に出会えることは俳優人生を大きく左右するできごと。僕にとって金子さんに出会えたこと、『俺の話は長い』に出会えたことは本当にこれからの人生を左右する大きなできごとになると思う」と感謝。

続けて「脚本家さんにとっても良い役者に出会えることってすごく重要なできごと。金子さんが生田斗真に出会えたことって本当に幸せなことだと思いますね。感謝して欲しいと思います」と笑わせた。

生田は「『寺内貫太郎一家』を見ているようだと言われたことがすごくうれしくて、『やったー』って思っていた。まさか『寺内貫太郎一家』を撮った向田邦子さんの冠がついた賞をいただけるなんてこの上なくうれしい。頭をたたきながら、アイデアをひねりだして、櫨山プロデューサーとケンカをしながら脚本執筆に励んでいた金子さんに会いにいって『向田邦子賞を取れるから頑張れ』っていってあげたい。このたびは本当にどうもおめでとうございました」と祝福した。

同ドラマは、放送文化の向上に貢献した番組や個人・団体を表彰する「第57回ギャラクシー賞」(放送批評懇談会)でも優秀賞を獲得。

生田演じる31歳独身、職なし、実家暮らし、でもへ理屈を言わせりゃ右に出るものなしのダメ男を中心に家族間でお茶の間大乱闘を繰り広げるホームコメディードラマ。「サザエさん方式」と呼ばれる30分×2本立てのストーリーが好評を博した。

◆金子茂樹(かねこ・しげき)1975年(昭50)7月15日、千葉県生まれ。04年に「初仕事納め」で第16回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞し脚本家デビュー。主な作品にフジテレビ系「プロポーズ大作戦」や日本テレビ系「きょうは会社休みます。」や同「世界一難しい恋」「ボク、運命の人です。」など。