日本のヒットドラマ「半沢直樹」が中国で好評だ。情報サイトで国産人気作品を上回る高評価を獲得。勧善懲悪の痛快なストーリーに加え、新型コロナウイルス流行に伴う閉塞(へいそく)感や不況も人気の背景にありそうだ。

「半沢が反撃に成功すると、スポーツ試合の大逆転を見ているようだ」。毎週欠かさず見ているという中国メディアの運動記者、葉珠峰さん(32)は興奮気味に語る。

ドラマや映画などの情報を扱う中国最大級のサイト「豆弁」での評価は10点満点中9・4。昨年の年間ランキング1位となった中華圏のドラマと並ぶスコアだ。中国語字幕付きの海賊版を視聴している人が大半とみられるが、日本で放送されるたびに、中国でも会員制交流サイト(SNS)のトレンドワードで上位に入る。

人口問題の専門家によると、労働年齢人口が減少する中国の人口構成はバブル崩壊期の日本と似ており、経済の活力が失われる可能性が指摘されている。バブル後の波乱を生き、従業員に対する企業の理不尽な待遇に立ち向かう半沢の姿に「無数の中国のインターネット利用者が共鳴している」(中国メディア)。

広東省深センのIT大手に勤める男性(36)は「コロナで社会が変わった。ストレスが蓄積していたところにドラマが放映され、ある種の癒やしになった」と指摘する。

中国当局はドラマが世論に与える影響に神経をとがらせているとみられる。SNSには、半沢が「政治家とは国民それぞれが自分の信じる理念の下に(中略)選んだ存在」と訴え、有力者の腐敗を追及する場面が繰り返し投稿されている。

共産党一党支配の中国ではきわどい内容で、ジャーナリストの安替さんはツイッターで「中国でリメークは無理だろう。(攻撃対象が)中央政府に向かうなんて国産ドラマでは想像もできない」とつぶやいた。(共同)