師走恒例の京都・南座「吉例顔見世興行」(12月5~19日)の発表会見が29日、京都市内で行われた。

新型コロナウイルス対策として、3部制で1部2時間ほどの構成となっている。劇場内の消毒や清掃のため、各部完全入れ替え制で上演する。役者も各部で分けられている。上演期間も2週間で12月11日の休演日が設けられている。

座席は43%の466席で販売する。最前列と花道の右側4列、左側3列は販売しない。スタッフも控室などの空間的区分や、勤務態勢を考慮してリスクを回避するなど、さまざまな対策がとられる。

8月に東京・歌舞伎座で歌舞伎公演を再開。9月の公演も終了し、10月大歌舞伎が同2日から上演される。8月からできる限りの徹底した感染予防対策をとった過程を経た上での南座公演となる。藤田孝支配人は「作り上げたガイドラインを踏襲しながら、かつ、最新の業界団体の、自治体のガイドラインを合わせもって、南座の感染予防対策を用意している」と説明した。

客席数は制限したままだが、3部制となることで観客の利便性をはかる考えだという。「今年ならではの、今年限定の顔見世を楽しんでいただけたら」と呼びかけた。

第1部は「操り三番叟(さんばそう)」「傾城反魂香」。第2部は「二人猩々」「熊谷陣谷」。第3部は「末広がり」「吉田屋」を上演する。中村鴈治郎、中村扇雀、片岡仁左衛門、片岡秀太郎、尾上右近、松本幸四郎、中村壱太郎らが出演する。

松竹の安孫子正副社長は「2週間だが、初日から千秋楽まで舞台が続けられるよう、健康に気をつけて心して頑張っていきたい」と話した。