俳優堤真一(56)が9日、都内で、主演映画「望み」(堤幸彦監督)の初日舞台あいさつに出席した。

同作は作家雫井脩介氏の同名ベストセラー小説を実写化。誰もがうらやむ裕福な建築士一家を襲った事件をきっかけに、亀裂が入った家族の中で交錯する望みを描いた作品で、堤は1級建築士石川一登を演じた。「本当にうれしいです。精神的に大変な撮影だったんですけど、こうやって完成してみなさんに観ていただけること、心から喜んでおります」と初日を迎えた思いを表した。

堤の妻を演じた石田ゆり子(51)も「今年の初め、1月、2月くらいにじっくりと撮影した映画です。本当につらかったです(笑い)。毎日つらかったです。堤監督のもと、現場は良いチームワークで、幸せな現場でした」と振り返った。

堤が提案して、撮影前に監督を交えて4人で食事会を開いたという。堤は「映像の仕事でよくあることなんですけど、初めましてで恋人や家族ということがあって、それが苦手だったのでお願いして」と経緯を話した。

映画には関係ない話を多くしたといい、息子役を演じた岡田健史(21)は「堤さんがずっとお話しされていた。ひたすら情報量が入ってきて、石田さんがいい奥さんのような、ずっとうなずいて。ずっとぼくはおふくろとおやじを見ている感覚で、それがすごく撮影にも生きたなと思います」と振り返った。

これについて堤は「撮影するときに、『こいつ、大したことない普通のおっさんや』って思ってくれた方がいいじゃないですか。だからくだらない話ばかりしていたんです」と説明した。

食事会の効果もあってか、石田は「堤さんは求心力があって、みんながそこに集まってくるような空気があった。みんな楽屋などに帰らずにセットの片隅で話をしているとか、何も話さなくてもとにかく一緒にいた」と振り返った。

この日は、初日を記念して鏡開きも行われた。最後に堤は「とにかくそれぞれの立場で、親、父、母、娘、息子、いろんな立場でみられる映画だと思います。いろんなことを感じる映画になっていると思います」とアピールした。