お笑いコンビ「まんじゅう大帝国」の竹内一希(26)が10日、都内の吉祥寺オデヲンで、主演映画「実りゆく」(八木順一朗監督)の公開記念舞台あいさつを行った。

劇中に本人役として所属事務所タイタンのトップ「爆笑問題」が、事前に渡された台本を全く読んでおらず、アドリブで演じたことで、大変だったと苦笑いした。

竹内は俳優デビューを果たした今作で、長野県のりんご農家の跡取りとして生まれた母の死後、父と農園を切り盛りする中、週末になると東京へ通い、お笑いライブに出演する実を演じた。

八木監督も同社で現役マネジャーを務めており、監督には初挑戦。共演した相方の田中永真(27)や日本エレキテル連合の橋本小雪(35)と中野聡子(36)も、俳優とスクリーンデビューは初めてだった。竹内は「みんな素人で、よく出来た。お芝居も、やったことないし、やる気もないし、監督の演出も分からず、知ったフリしてやっていた。(監督には)マネジャーなので何年もついてもらっているので、弱音を吐き、分からないものは分からないと言ったら教えてくれた」と語った。

そんな座組でスタートした撮影だったが、いきなり19年10月の初日に、竹内演じる実が爆笑問題とTBSラジオの架空の番組に出演するシーンの撮影があった。タイタンに入社後、田中裕二(55)のマネジャーを4年務めた八木監督が「事務所のトップに演出できないと思ったから、早めに台本を渡した」と万端の準備をして臨んでいたが、竹内は「八木さんと2人で、ブルブル震えながら、顔面真っ白」になってTBSに向かったという。

ところが、TBSラジオのブースに入るなり、田中は「読んでないよ」、太田光(55)も「(台本を)なくした。なくしちゃあ、しょうがない、読めない」と、全く台本を読んでいなかったことが分かったという。八木監督は「じゃあ全部、アドリブでお願いします!!」と言うしかなかったが、竹内は「僕は僕で、せりふがあるわけですよ。アドリブの爆笑問題さんに(役の)実として突っ込んでいかなくちゃあいけない。大変でしたよ、もう。太田さんは、好き勝手なこと言ってくるし…本当に、あたふたした」と振り返った。

その上で「普段の爆笑さんと、慌てる僕という…3人とも素ですよね。それが結局、ご本人役ということで自然だった。良かったんですよね。さすが爆笑さん」と、爆笑問題の“台本読みサボリ”が、作品のリアルさを増す効果があったと強調した。八木監督も「台本を読んできていないことが撮影当日に判明するという、衝撃のカウンターパンチから始まったので波乱の幕開け。アドリブにしたことによって、ラジオの生々しさ、リアルさが出た。逆に助けてもらった。感謝しかない」と語った。

初日舞台あいさつ後、劇場ではパンフレット購入者を対象に、まんじゅう大帝国と日本エレキテル連合、八木監督のサイン会が行われ、行列ができた。

5人はファンから寄せられた続編やスピンオフ製作のリクエストに、笑顔で気さくに応じていた。