欅坂46が13日、ラストライブ2日目公演の生配信を行い、5年間の歴史に幕を閉じた。最後のステージでも、独特の世界観やパフォーマンスは健在。激動の5年間を、有終の美で締めくくった。改名した「櫻坂46(さくらざかフォーティーシックス)」としての初パフォーマンスもサプライズ披露し、新たなスタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

アイドルの口からは、しばしば「普通の生活をしていたらできないような経験ができた」という言葉を聞く。ただ、欅坂46以上に濃密な、唯一無二の経験をしてきたグループは少ないのではないだろうか。

16年4月のデビュー曲「サイレントマジョリティー」がスマッシュヒット。アイドルらしからぬクールなパフォーマンスは話題を呼び、一気にブレークした。一方で、楽曲の強い世界観に没頭し、心身共に不安定になるメンバーも現れた。卒業や脱退もあり、感情が揺れ動く日々が続いた。

まるでいじめのような、執拗(しつよう)な一部のネガティブ報道にも耐え続けた。注目されるゆえの宿命かもしれないが、アイドルといえど10代から20代の生身の少女たちだ。親しい関係者によれば、報道により疑心暗鬼になり、精神的に深いダメージを負ったメンバーもいるという。それでも、根強いファンから支えられ続け前進した。

そもそも、4年連続でNHK紅白歌合戦に出場中のグループが改名すること自体が異例だろう。メンバーもスタッフもファンも、「欅坂46だけしかできない経験」をした5年間だった。【横山慧】