松本穂香(23)が17日、東京・丸の内TOEIで行われた映画「みをつくし料理帖」(角川春樹監督)公開記念舞台あいさつで「下がり眉」と呼ばれる劇中の役どころに自らの眉を近づけるため、自宅で眉を下げる練習を続けたと明かした。

松本は劇中で、大阪で大洪水に遭って江戸に移り住んだ10年後、神田のそば屋「つる家」で女料理人として腕をふるう澪を演じた。松本自身、菓子作りが好きだが、澪を演じるにあたり、料理学校に通うなど役作りを徹底した。

その料理以上に悩みだったのが、眉だった。澪は窪塚洋介(41)演じる御膳奉行・小松原から「下がり眉」と呼ばれる役どころだが、松本は「私は、もともと下がり眉ではないので、台本でその文字を見る度に不安になった。おうちで、鏡の前に立って練習していた」と振り返った。

その中でも「キターッという実感はなかった」という。「もがいていた。どうにか表情で、近づけることは出来ないかと、眉毛を動かしていた」という中、メークの担当者から「そこまで心配することはない、お芝居に集中してください」と言われ、気持ちを切り替えたという。

そう語っていると、劇中で幼なじみ役を演じた奈緒(25)が隣でOKサインを出した。松本は「奈緒さんに合格をいただけました」と笑みを浮かべた。司会から、下がり眉が癖にならなかったかと聞かれると「癖には、ならなかったです」と苦笑した。

「みをつくし料理帖」は、作家高田郁氏の同名時代小説シリーズの映画化作品。1802年(享和2)、大阪を襲った大洪水で両親を亡くした澪(松本)は、名料理屋「天満一兆庵」の女将芳(若村麻由美)に拾われる。10年後、江戸・神田に移り住んだ澪は、そば屋「つる家」で女料理人として雇われるも、上方の味を振る舞っても客から酷評され、スランプに陥る。

試行錯誤を繰り返す中、上方流と江戸流を合わせただしを考案し、天満一兆庵の人気料理「とろとろ茶碗蒸し」を提供し、その味が評判となる。その評判を聞き付け、茶わん蒸しを求めた又次(中村獅童)が食べさせたかった相手あさひ太夫こそ、大洪水の際に澪が生き別れた幼なじみの野江(奈緒)。生き別れ、江戸で別々の人生を歩む2人が強い絆で引き寄せられるまでを描く物語。

70、80年代の日本映画界を席巻した「角川映画」をプロデューサー、監督として率いた、角川春樹監督(78)にとって、約10年ぶり8本目の映画で、最後の監督作と位置付ける作品だ。