アニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)が、16日の公開初日から3日間で興行収入(興収)46億2311万7450円、動員342万493人を記録した。配給のアニプレックスが19日、発表した。同社によると、3日間の各日の興収、動員は平日、土日のいずれも、日本国内で公開された映画の興行収入と動員の歴代1位の記録だという。わずか3日で興収100億円の大台の半分近くまで稼ぎ、ロケットスタートならぬ“鬼スタート”となった。

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「鬼滅の刃」が、日本映画史上に残る、おばけ記録ならぬ“鬼記録”を打ち立てた。初日は金曜日だったが興収12億6872万4700円、動員91万507人を記録。日本国内で公開された映画の平日の興収と動員の記録を塗り替えた。学校が休みで子供が足を運びやすい土日は、17日が興収17億172万3350円、動員127万234人、18日が興収16億5266万9400円、動員123万9752人。初日を上回り土日の日本歴代1位の記録となった。3日間で今年の邦画で興収ランキング3位の「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の37億7000万円を超えた。

アニメ映画で見ても近年、大ヒットを続ける新海誠監督の作品を大きく上回った。歴代興収ランキング4位、邦画2位の興収250億3000万円を挙げた16年「君の名は。」が公開から2日で記録した興収7億7000万円で4倍近い数字をたたき出した。興収141億9000万円を挙げた19年「天気の子」の公開から3日間の興収16億4380万円と比較しても約3倍。新型コロナウイルスの感染拡大で政府が4月に緊急事態宣言を出して以降1カ月強、休業に追い込まれた映画館にとっても大きなヒットとなった。

アニプレックスの関係者は大ヒットの要因として、累計発行部数1億部を突破した吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏の原作漫画の力を挙げた。アニメを制作した「ユーフォーテーブル」の実写さながらの映像への評価も高く「大人気作品を原作・アニメと多くの方に愛していただいたからだと思ってます」。全国403館(IMAX38館含む)という異例の公開規模についても、共同配給で営業を担当する東宝の尽力と各興行会社の力添えを挙げた。

海外での配給も30日公開の台湾を皮切りに順次、調整し、北米でも来年の公開を予定している。【村上幸将】

◆「鬼滅の刃」 16年2月に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始し、5月18日発売の同誌まで205話、掲載。大正時代を舞台に竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が家族を殺した鬼と戦うため修業し、鬼と化した妹禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探し、戦う物語。映画は19年9、10月に放送されたアニメ最終話で炭治郎と仲間たちが乗り込んだ“無限列車”を舞台に新たな任務が描かれた。

◆興収の記録 「鬼滅の刃」が土日2日間で記録した約33億5400万円の興収は、それまで1位の14年「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」の16億2889万円(最終興収78億円)を上回った。配収から興収入集計方法が変わった00年以降の歴代邦画初動記録では、スタジオジブリの04年「ハウルの動く城」の約14億8000万円(同196億円)が長らくトップだった。