「ドクターX~外科医・大門未知子~」「ハケンの品格」など数々のヒット作を生み出し、華麗な決めゼリフでドラマを盛り上げてきた脚本家の中園ミホ氏(61)。22日にスタートするテレビ朝日系の新作ドラマ「七人の秘書」(木曜午後9時~同54分、初回20分拡大スペシャル)の放送を前に、作品に込めた思いを語った。

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-黒子である秘書たちが、裏で悪を懲らしめて世の中を動かしていくという物語を、このタイミングで書こうと思ったきっかけは

「実は7~8年前から“名もなき秘書たちが世の中を変えていく”という話を書きたいと思っていたんです。ある時、内山聖子エグゼクティブプロデューサーに『何か書きたいものはないですか?』と聞かれて、その話をしたら即決だったので、もっと早く言えばよかった!と思いました(笑)」

-そんなに前から構想を

「例えば、『西郷どん』って実は殿様の密偵、秘書なんですよ。私は、常々そういう人たちが世の中を変えているんじゃないかと感じていたんです。よく出席する飲み会のメンバーにも政府の裏方の人たちがいるんですけど、そういった表に名前の出ない人たちが実は世の中を動かしているんじゃないのかな…と思っていたので、いつかそういう話を書きたかったんです」

「パンデミックで家にこもっていた時期に、いろんな国のこれまで知らなかった大統領をニュースで見る機会が増えましたよね? その時に、改めて国のリーダーに私たちは命を預けているんだな、と感じたんです。良いリーダーとそうでないリーダーで、身の危険や健康が脅かされることに差が出るんだということをヒシヒシと感じて、今このドラマをやりたい!と」

-いろいろと“もの申したいことがある!”というお気持ちだったんでしょうか

「ほかの国とつい比べてしまったり、日本はどうなっているのか、私の住んでいる東京都はどうなんだろうって、考える時間がたくさんあったので、リーダーによって、一番あおりを食うのは国民だな、ということをすごく感じたんですよね」

「私は何かを正面から批判することが苦手で、ちゃかして笑うくらいが得意だったんですけれども(笑)、さすがにその頃は『どうなってるんだ!』という気持ちになっていたので、そういう人たちを、人事権も何ももたない女の子たちがこっそり退任させたりしたらステキだな、とファンタジックに考えていました」

-「取材の中園」と言われるほどですが、秘書や敵となる権力者たちについて、今回はどういうリサーチしたのか

「私はいつもものすごく取材するんですけど、今回の秘書に関しては、内山さんが元秘書なので、教えてもらおうと思っていました(笑)。内山さんもいろいろと取材してくれていましたし…。あとは、飲み友だちの政府の方に連絡しましたね。普段の私は“飲む”のが取材なんですけど、今はそれもできないので、メッセージのやりとりや、電話で取材しています」

-今回の決めゼリフ「名乗るほどの者ではございません」や「懲らしめてやりましょう」は、どういう時に思い浮かんだのでしょう

「実は『お前たち誰なんだ!』って言われた時、彼女たちはなんて答えるんだろう…と考えた時に『名乗るほどの者ではございません』って言うんじゃないかなと思ってサラッと書いていたんです。そしたら内山さんが『これ、面白い!』と言ってくださったので、じゃあ決めゼリフにしようと(笑)。私は、ちょっと時代劇っぽいんですけど、サラン(シム・ウンギョン)が言う『懲らしめてやりましょう』というセリフも好きなんですよね。弱い人を踏みつけるような人たちを、みんなはどうしてやりたいんだろう、と考えた時に、きっと懲らしめてやりたいはずだ、と。これは絶対に言わせたい!と思っていました」

◆「七人の秘書」 目立たぬことを極意とし、要人に仕える名もなき「秘書」たちと、その元締めとなる「影の男」が、副業の「人助け」で金や権力にまみれた非情な支配者たちを一掃する。理不尽だらけの日本社会を裏で操り、変えてゆく。そんな「影の仕事人」の暗躍を描く新時代の痛快ドラマ。望月千代(木村文乃)、照井七菜(広瀬アリス)、長谷不二子(菜々緒)、朴四朗<パク・サラン>(シム・ウンギョン)、風間三和(大島優子)ら5人の秘書たちと、情報屋の鰐淵五月(室井滋)、そしてメンバーの元締め・萬敬太郎(江口洋介)がのさばる悪を倒す。見たらスッキリした気持ちになること請け合いのストーリー。