中村吉右衛門(76)尾上菊之助(43)が23日、都内で、国立劇場11月歌舞伎公演「平家女護島 俊寛」(同2~25日)の取材会に出席した。

平家討伐が露見し流罪になった俊寛の悲劇を描いた名作。吉右衛門は「お客様の喜怒哀楽に訴え、涙とともにお客様に苦しみを流していただく。コロナのことも、苦しいことも忘れていただく。それができたらいいなと思います」と話した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年は舞台に立てない期間が続いた。吉右衛門は「役者は舞台に立てないと生きてるとは言えない。今回ほど如実に実感したことはない」と言い、9月に歌舞伎座に出演した時のことを「心からの拍手をしてくださる。役者になって良かった。生きていて良かったと思いました」と振り返った。

俊寛の妻東屋を演じる菊之助は「俊寛のために自害して果てる女性の強さを出したい。また、清盛がひとめぼれしてしまううるわしい女性なので、そのうるわしさをどう出せるか。岳父の胸を借りて参加できることを幸せに思います」と話した。

吉右衛門は俊寛と清盛、菊之助は東屋と丹左衛門の2役を演じる。