俳優伊藤健太郎容疑者(23)が28日夜、東京・渋谷区の路上で乗用車を運転中にバイクと衝突し、現場から立ち去ったとして自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで29日、警視庁原宿署に逮捕された。伊藤容疑者は容疑を認めている。人気急上昇中の若手有望株で、映画や舞台の主演作が控える中での逮捕だった。

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伊藤健太郎容疑者が29日、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで警視庁に逮捕されたことを受け、映画界に激震が走った。

8日後の11月6日公開の映画「十二単衣を着た悪魔」は、9月に伊勢谷友介被告が大麻取締法違反容疑(所持)で逮捕、起訴されたのに続く出演俳優、しかも黒木瞳監督たっての希望で起用した主演の逮捕という前代未聞の事態。配給のキノフィルムズの関係者は「対応を検討中です」と苦悩をのぞかせた。

全国54館での公開目前に、逮捕の一報が流れたこの日午前から関係者は対応と協議に追われた。20日に都内で開いた完成報告会で、黒木監督は番組を持つニッポン放送に貼られた、伊藤容疑者のポスターを見て一目ぼれしてオファーしたと明かし「念願かなって、すごい幸せ」と喜んだ。同容疑者も「(演出で)役者の立場に立って考えてくれる」と感謝していた。

製作委員会は、伊勢谷被告逮捕の際は「個人が起こした事件で作品は別」という観点からシーンのカットや再撮影は行わなかった。ただ、主演俳優が逮捕された今回は次元が違うだけに軽々な判断は下せず、公開直前に窮地に追い込まれた。