20日公開の映画「フード・ラック!食運」で監督デビューするダチョウ倶楽部寺門ジモン(57)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じ、熱い思いを語った。

芸能界屈指の食通として知られる寺門だが、中でも肉への思いは特別だ。“本当の焼き肉映画を描きたい”。そんな強いこだわりが詰め込まれているが、「肉が主役はブラフです! 松竹をダマして肉バカ映画を撮っちゃったというのはフリで、家族愛を描いています」と真顔で話した。

きっかけは松竹との会食だった。寺門の食の本を愛読していた松竹関係者から、世界中の肉を食べ回るドキュメンタリー映画の製作を持ちかけられた。だが、「それではつまらない」と一蹴。「やるならストーリー物でと話したら、『本は書けますか』となって。そこから6年かかりました」と笑った。「その間何度も立ち消えそうになったけど、なんとか撮れた」と笑みを浮かべ、「焼き肉屋のある若者の成長記ですが、その中にいろんな要素が入っています」と、自信をのぞかせた。

同作はEXILEのNAOTO(37)と土屋太鳳(25)のダブル主演。本を書いている時点から2人は浮かんでいた。だが“初監督の壁”を気にかけていた。「初監督作品には(出演は)無理ですということなんですけど、食べ物はその壁をぶち破れるんです」と胸を張った。「なんか食べ物で釣ったと思われるかもしれないけど、2人とも『食べ物が絡む映画なら出たい』と言ってくれて、実現した」という。そんな言い方だったが、寺門が作り上げてきた人間関係が“初監督の壁”を突き崩したのは言うままでもない。

撮影現場では「とにかく明るく」を心がけた。台本の表紙には「怒らない」と書いた。「現場で怒ることにプラスはない。僕のために集まってくれてるのに、なんかピリピリする空気では絶対にいやじゃないですか。そうじゃないようにと決めていたから、良いスタートが切れた」。だが、緊張もあった。「フルマラソンでも足をつらなかったけど、この撮影中に2回こむら返りになった。あんな経験は初めて」と苦笑した。

ダチョウ倶楽部は今年、事務所所属35周年を迎えた。そんなメモリアルイヤーの映画監督デビュー。「今までやってきたことの1つ1つの点が、線につながる瞬間をちょっと見られた感じがした。ダチョウ倶楽部をやっていてよかったし、食べ物もやっていてよかった。周りにはバカじゃないのと言われたりもしたけど、35年やったことがつながって、この映画ができた」と目を輝かせた。

だが、その直後には悲痛な叫びをあげた。「11月20日って連休でしょう。ここの興行成績で翌週の公開劇場数が決まるんです。成績が悪いと半分になってしまうので、ホントにみなさんみてください! 新参者の弱々しい動物なので、よろしくお願いします!」と懇願した。