来年7月の退団を発表した宝塚歌劇団の花組トップ娘役、華優希(はな・ゆうき)が17日、兵庫県宝塚市の同劇団施設内で退団会見を開き、コロナ禍による長期休止前に卒業を決意しながらも、揺るがなかった思いを語った。

「この立場になって、こんなにも愛にあふれた作品と、皆さまにたくさんの愛をいただきました。卒業する最後の日まで、精進を重ねてまいります」。

白いワンピース姿で、目に涙はなし。すがすがしささえ漂う表情で、退団への思いを切り出した。

華は昨年4月に前トップ明日海りおの相手娘役に迎えられ、明日海の卒業を見送り、今年から現トップ柚香光の相手役に就いた。

退団を意識したのは、柚香との新コンビ初作品「DANCE OLYMPIA」の稽古中。柚香に意思を伝えたのは、本拠お披露目「はいからさんが通る」の稽古が始まった今年1月30日だったという。

宝塚においてはトップ、トップ娘役に就いた段階から、退団へのカウントダウンが始まる。華も「就任のお話をいただいた時に、私には光栄すぎる喜び」だったと振り返り「同時に責任ある立場を頂いたからには卒業の時期も考えないと」と感じていた。

明日海を見送り、柚香との新コンビで本拠地お披露目を前にした稽古初日。柚香に思いを伝えると「本当にお優しく、最後まで私の話を聞いてくださり『今まで以上に濃い時間を過ごそう』とおっしゃってくださった」という。

ただその後、新型コロナウイルスの感染拡大で、4月開幕予定の本拠お披露目が延期。7月開幕まで延びた。この間には「心は揺らぎました。寂しい気持ちも生まれてしまいました」と本音ものぞかせたが、同時に「けれど決めさせていただいたからには、自分でできる精いっぱい(の卒業への準備)をしたい」と、気持ちを固めたという。

この「はいからさん-」は、トップ就任前の柚香と17年にも主演コンビを組んだ思い出の作品。「花村紅緒という人(役)には3年前に出会い、励まされてきた。この期間(コロナ禍)も一緒に乗り越えられたような」との思いも語った。

初志を貫徹させ、前々日の14日に東京宝塚劇場千秋楽を終え、退団を発表した。組メンバーにも伝え、温かい言葉を贈られ感謝した。大劇場作は3作で退くが、相手役を務めさせてもらった明日海、柚香の2人のトップへの思いは強い。

「本当にすばらしいおふたりの相手を務めさせていただき、私にはもったいないほどたくさんの幸せをいただきました」

華が配属された時点ですでに花組トップに就いていた明日海には「私にとっては偉大すぎる方」と畏怖しつつも「こんな私を相手役としてそばに置いてくださり、その幸せの中で舞台に立たせてもらえた」。

下級生の頃からコンビを組ませてもらった柚香には「私の長所も短所もすべて受け入れた上で、導いてくださる方。本当に愛情の深い方。私以上に私のことを理解してくださっている」と尊敬。全幅の信頼を寄せ、宝塚最後の日まで伴走することを誓った。

退団公演は、来年4月2日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「アウグストゥス-尊厳ある者-」「Cool Beast!!」。同公演の東京宝塚劇場千秋楽となる来年7月4日付で退団する。退団後の活動は未定。