今年6月に全国ツアー予定も中止となっていた宝塚歌劇の星組公演「エル・アルコン-鷹-」「Ray-星の光線-」が20日、大阪・梅田芸術劇場で、5カ月遅れて開幕した。星組トップ就任からちょうど1年となった礼真琴、相手娘役の舞空瞳らが、海洋活劇ロマン作に臨んだ。公演は同劇場で28日まで。

昨年のまさにこの日、11月20日、星組新トップに就いた礼は、舞空とともに、同じ梅田芸術劇場で、新トップコンビお披露目の舞台の初日を迎えていた。あれから丸1年。本来は全国ツアー作だったが、新型コロナウイルスによる中止、スケジュール調整を経て、今作で“原点”へかえってきた。

芝居は、青池保子氏の「エル・アルコン-鷹-」「七つの海七つの空」の2作をもとに、07年に安蘭けい主演で上演されており、13年ぶりの再演となった。

舞台は16世紀後半のヨーロッパ。イギリス海軍士官ながら、スペインの無敵艦隊を率いて「七つの海」を制覇する夢を追うティリアン・パーシモンの野望に満ちた生き様を描く。

礼は「彼の持つ冷酷さ、野心、秘める情熱を全身で、そして内面からも表現していけたら」と言い、ダーティー・ヒーローを、心情の機微を表現する繊細な役作りで表現した。

舞空は、フランス貴族の称号を持つ誇り高き女海賊役。「挑戦させていただけることに、身の引き締まる思い」を胸に、礼ふんする海軍士官と渡り合いつつも、ひかれていく。

2番手スター愛月ひかるは、父のかたきを討とうと礼演じる海軍士官を追い海賊に転じた青年を熱演。コロナ禍を乗り越えて迎えた初日に「お客様とこの喜びを分かち合いたい」との思いを抱き舞台に立つ。

今作はもともと、全国ツアー作だけに、ショーとの2本立て。「Ray-」は2月に兵庫・宝塚大劇場で開幕した礼、舞空の新コンビ本拠地お披露目作で、「新しい時代の始まり」をテーマに作られた。今回は全国ツアーバージョンで、星組生ら総勢35人に出演者が絞られ、再編成された。