東映会長の岡田裕介(おかだ・ゆうすけ)さん(本名岡田剛=おかだ・つよし)が18日午後10時58分、急性大動脈解離のため東京都内の病院で死去した。20日、同社が発表した。71歳だった。通夜・告別式は近親者で密葬として執り行い、お別れ会などを後日、開催予定だという。

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岡田さんは、映画を愛する人間をどこまでも愛した。映画好きの記者にも、いつも真正面から応えてくださった。忘れられないのは12年1月に映画「北のカナリアたち」のロケで行った礼文島から戻った稚内の夜。カラオケボックスで「赤頭巾ちゃん気をつけて」の歌を笑顔で熱唱した。「東宝のスター俳優」などと声がかかると決めポーズする、飾らない人だった。

映連会長として映画館を守る姿勢は譲らなかった。新型コロナの影響で行定勲監督が映画「劇場」を公開と同時に配信した際は、映画として認めなかった。真意を確かめようと6月末、都内で直撃すると「監督の決断は大変だったんじゃないか。ただ、配信は映画館をつぶす」とさらりと答えた。その裏では行定監督と対面し「現段階では規定がない。不運だが映画ではない」と心中をおもんぱかっていた。映画に関わる人間を愛し、愛された人だった。【村上幸将】