先日、映画「ミセス・ノイズィ」(天野千尋監督、12月4日公開)の完成披露舞台あいさつを取材した。

出演している、子役新津ちせ(10)の舞台上での受け答えに圧倒された。

司会者から、思い出に残っているシーンはありますか、と聞かれる場面があった。すると新津は、母の化粧品を勝手に使って落書きをするシーンを挙げ「そうゆうのやったことなくてあたふたしちゃって…」と振り返り、監督から「はっちゃけてやりな、何してもいいよ」とアドバイスをもらったと明かした。その後は「はっちゃけてできて、ドキドキしたんですけどやったことがなかったので面白かったです」と笑顔で話し、横にいた監督をのぞき込み「その節はありがとうございました」と丁寧にお辞儀をし、お礼した。

10歳ながら「その節は」などという言葉がこんなにすらすらと出てくるものなのか。10歳という年齢からは想像もつかない言葉選びと、しっかりとした対応にあぜんとしてしまった。

どのような10年を過ごしていればそんな言葉が浮かび、言葉を詰まらすことなく発せられるのか。不思議でたまらなくなった。

自分の10歳のころを思い返したが、こんな言葉は認知もしていなかったのではないか。聞いたことはあっても、実際に使うことはなかっただろう。新津の、この先の将来、5年、10年先、一体どんな大人に成長するのか、とても楽しみで、気になるところだ。