俳優味方良助(28)が、フジテレビ系「十三代目市川團十郎白猿襲名記念ドラマ特別企画『桶狭間~織田信長 覇王の誕生~』」(26日午後9時)で、織田信長の家臣の服部小平太を演じる。また、自身初となるナレーションも務めている。

物語は今川義元の大軍を数的にはるかに劣る織田軍が打ち破り、日本史上最大の逆転劇とうたわれ、織田信長(市川海老蔵=43)を一躍戦国時代の主役に押し上げた伝説の一戦、桶狭間の戦いを題材とする。

味方は「舞台の稽古中にこのお話をいただいたのですが、“僕ですか?”というのが正直な気持ちでした。テレビドラマの撮影は『教場』に続いて2本目でしたし、本格的な時代劇もあまり経験がなく、まずは、本当に驚きの気持ちが強かったです」と振り返った。

「僕自身、あまり時代劇を見る機会が少なかったので“桶狭間の戦いをやるんだ”というワクワク感と高揚感を感じました。我々の中にも脈々と受け継がれている400年ほど前のこの時代は、こうだったんだなと。そして、これだけ丁寧に、純粋に、この時代の織田信長を描くということがすごく興味深かったですね。僕の役(服部小平太)は実は知らない人物でしたので、深掘りしていくうちに、こういう人がいたんだということを再認識しました」。

初めての時代劇の撮影に臨むに当たって「京都の撮影現場ももちろんなのですが、初めてのことばかりでしたので、これは中途半端に下準備をしてもしょうがないと思い、あえて“捨て身で行こう”と思いました。もちろん、この時代の歴史の書物は読みましたし、台本もしっかり読み込んで、芯はぶれないように心がけていたので、これといって他に特別な準備はしませんでした。この作品を通してこの時代を知っていく方が大切なのかなとも思って。現場で実際に“殿(信長)”を見て感じたことを大切にしようと思いました」と話した。

「僕は津島衆と言われる織田信長に少年期から傾倒する家臣団の一人でしたが、信長様が入ってきた瞬間に、“織田信長だ! 本物だ!”とすぐにスイッチが入りました。海老蔵さんのたたずまいは“きっと織田信長ってこうだったんだろうな”と思わせてくださるものがあり“捨て身でこの人に仕えていこう”と、自然と立ち居振る舞うことができました」と振り返った。

海老蔵が演じる信長については「まねしようとしても一生できないし、吸収しようとしてもできない。それは殿だけが持っているもので、でもそれをそばで感じることが楽しかったです。普段はフランクで優しい方だし、気を使ってくださったのですが、やはりどこかでずっと緊張感を持ち続けていました」。

他の共演者については「(信長の弟の)信勝を演じる馬場徹さんとは普段から仲良くさせていただいていたので“この信勝を謀殺するシーンはどうなるんだろう?”という話をしていました。あの瞬間の小平太は忠誠のかたまりで、味方良介個人としては、抜群に爽快感は感じました。殿、柴田勝家、信勝、毛利新介だけの空間で、独特の空気と緊張感があり、この作品を通して一番緊張感を感じたシーンです。松田(龍平)さんは、普段は何を考えているのか、どういうふうに思っているのかわからないのですが、柴田勝家を通して対峙(たいじ)すると、とてつもない熱い魂のようなものを持っていて。小平太はずっと勝家のことを疑い続けますが、最後には納得させられてしまうのは、松田さんの唯一無二の力があったからだと思いました。津島衆の皆さんとは、はじめは探り合いの状態でした。“でも俺たち、同じ殿に仕えているから仲間だよね?”というように、すぐに一体感が生まれたように感じました」。

初体験の京都での撮影については「独特ですよね。こんな世界があるんだ、なるほど! これが、今まで映画やテレビで見てきたものなんだ、というワクワク感。そこに踏み込んだ瞬間に背筋がピンとなるというか。スタッフさんもキャストの皆さんも、すごいなと思いました」。

桶狭間の戦いのシーンについては「僕は殺陣はそこまで得意ではないのですが、河毛(俊作)監督が“味方は(殺陣が)できる”と胸を張っておっしゃったので、できることになっていて(笑い)。そんな状況で、殺陣のシーンが次々と行われていくのは怖かったです(笑い)。でも“今川(義元)を討つ”という使命感で、合戦という凝縮されたシーンではいい経験をさせていただきました。生き死にが目の前にあり、必死にくらいつきましたね。この時代は周りがどんどん死んでいく中で命をかけて闘っているのですから、自分も命をかけて闘わないといけないと思いました。殺陣の出来栄えはどうだったかはわかりませんが、最後は“なんとか討ち取った”という実感はありました」と振り返った。

ナレーションについては「ナレーション自体が今回初めてで、とても緊張しました(笑い)。(こういうコロナ禍の状況で)撮影から期間があいていたので、当時のことが薄れてはいたのですが、体にしっかり染みこんでいたので、少し間があき、逆によかったなと思いました。記憶を探りながらではなく、自分の中で眠っているものを呼び起こしていく感覚でした。時代劇独特の言葉やイントネーションも事前に調べはしたのですが、自分のクセが出てしまう瞬間があって、自分に対していらだちを覚えました」と振り返った。

「本当に“最初から最後まで”が見どころだと思います。“桶狭間の戦い”にフォーカスするのはすごくチャレンジな企画だと思いますが、その中で1人1人の人物や関係性がすごく凝縮されて描かれていて。日本人の熱くなれる魂、パッションみたいなものを感じられる作品だと思いますので、そこを感じながらぜひ、見てほしいと思います」と話した。