TOKIO長瀬智也(42)が主演する連続ドラマ、TBS系「俺の家の話」(金曜午後10時)が先月26日に、最終回を迎えた。

脚本は宮藤官九郎。宮藤と長瀬は、TBSだけでも「池袋ウエストゲートパーク」(00年4月期)「タイガー&ドラゴン」(05年4月期)「うぬぼれ刑事」(10年7月期)でタッグを組んでいる。いわば、お互いを知り尽くした関係だ。長瀬はこのドラマを最後に、TOKIOからも芸能界からも離れることを公言している。だからなのだろう。クドカンの長瀬へのはなむけというか、エールというか、長瀬の存在感が随所にこれでもかとにじみ出る作品だった。

長瀬演じる、ピークを過ぎたプロレスラー観山寿一が、能楽の人間国宝である父の寿三郎(西田敏行)の介護のために現役を引退。家の大黒柱として、次々と一家に降りかかる困難に立ち向かう物語。家族だけではなく、謎の女性介護ヘルパーさくら(戸田恵梨香)を巻き込みながら、家族と一致団結し、一家をまとめていくというストーリーだ。

物語の中心を担うのは、長瀬、戸田、西田の3人だ。戸田演じるさくらが、まさに謎の女なのだが、そこはかとなく根底から醸し出す優しさが、ドラマをハートウオーミングに包み込む。プライベートでは結婚しているが、あの少女のような愛くるしさを出してくるのは、女優としての引き出しの多さに敬服する。

そして、親子を演じる長瀬と西田は、まさに、抜群の信頼関係が画面に広がってくる。お互いがお互いに寄り添っており、ドラマを見れば見るほど、本物の親子にみえてくる。

さらに、周囲を固める登場人物もクドカンワールド。長州力に、常に「きれてないっすよ」と言わせるあたりは圧巻だ。

最後に、長瀬の演技がこれで見納めとなるのは残念で仕方がない。役作りでレスラーの体形にみせることだけでなく、存在感や主人公としてのオーラなど、なかなか右に出る人は少ないと思う。背の高さもあり、バンドのボーカルで歌もうまい。日本の芸能界の枠に納まらない逸材だ。TOKIOとしてのグループの事情や、所属事務所や本人の考えもあるのだろうが、日本の芸能界全体のことを考えても、つくづく名残惜しい。