昨年5月23日に出演者のプロレスラー木村花さん(享年22)が死去して打ち切られたフジテレビ系恋愛リアリティー番組「テラスハウス」について、母親の木村響子さん(44)が「過剰な演出が原因でSNSに苦情が殺到した。人権侵害があった」と申し立てていた件で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が30日、都内で会見をして見解を発表した。

10人の委員会は「放送倫理上問題あり」と見解を示した。

ネットフリックスで先行配信されたのを契機に、花さんに対する誹謗(ひぼう)中傷がわき起こり、自傷行為に至る深刻な自体が生じていたにもかかわらず、フジテレビが放送を行ったことについて「放送倫理上の問題があったと判断した」と説明した。「フジテレビにおいて、全体として問題の深刻さの認識に甘さが合ったことは否定できない。リアリティー番組の制作・放送を行うに当たって体制の問題を課題として指摘せざると得ない」と補足している。

フジテレビは昨年10月にSNS対策委員会を設置して、報告書を取りまとめている。委員会は「フジテレビが本決定を真摯(しんし)に受け止めた上で、自ら定める対策を実施して、その効果の不断の検証を踏まえて改善を続けるなどして再発防止に務めるとともに、本決定の趣旨を放送するように要望する」とした。

◆木村花(きむら・はな)1997年(平9)9月3日、横浜市生まれ。母は元プロレスラー木村響子で父はインドネシア人。15年に武藤敬司の主宰団体「WRESTLE-1」のプロレス学校に1期生として入学。16年3月に才木玲佳戦でデビュー。フリー、ACE、W-1を経て、19年3月にスターダム入団。ユニット「TOKYO CYBER SQUAD」を率いた。164センチ、58キロ。得意技タイガーリリー、ハイドレンジア。