ドラマ「北の国から」や映画「若大将」シリーズなどで知られる俳優田中邦衛(たなか・くにえ)さんが3月24日午前11時24分、老衰のため死去した。88歳。岐阜県出身。葬儀は家族で行った。

田中さんとフジテレビ系ドラマ「北の国から」で親子を演じた吉岡秀隆(50)は2日夜「いつか、この日が来ることを心のどこかで覚悟しておりました。今は邦衛さんの笑顔しか思い浮かびません。自分の覚悟の小ささとあなたの大きな優しさに涙しかありません」とコメントを発表した。

「北の国から」は、田中さん演じる黒板五郎が、妻の令子が家を出たことから東京にいるのが嫌になり、故郷の北海道・富良野で2人の子ども、純と蛍を男手1つで育てる家族の物語。1981年(昭56)から02年まで連続ドラマとスペシャルドラマ8本が放送された。蛍役の中嶋朋子(49)は「幼い頃から今まで何も変わることなく、人として深く接してくださいました。大好きです」と悼んだ。令子役のいしだあゆみ(73)も「楽しいお仕事をご一緒できたことが、かけがえのない思い出」と語った。

脚本の倉本聰氏(86)は「悲劇的なシチュエーションに置くほど喜劇になる。とても貴重な俳優。僕の中で五郎は(今も)富良野で生活している錯覚をする。そう簡単に死んだとは思えない」と語った。演出した日本映画放送の杉田成道社長(77)は「30年来の戦友を失った気持ち。邦さんは五郎さんそのもの。むしろ五郎さんが邦さんに近寄って体にすっぽり入り込んだような気がします。全てにこだわらなくて何でも包み込む日本の父」と悼んだ。

フジテレビでは、3日午後9時から追悼特別番組「北の国から87初恋」を放送する。