アニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の庵野秀明総監督(60)が11日、都内で行われた同作の大ヒット御礼舞台あいさつに出席した。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「-破」「-Q」に続くシリーズ最終章となる作品。庵野氏が同作に関連した舞台あいさつに登壇するのは初めてのことで、「僕がエヴァ関連で表に出るのは製作発表の時と、1本目が春に間に合わなくて『すいません』という謝罪会見の時以来なんです」と苦笑い。「今日は皆さんにスタッフの代表として直接お礼を言う最後のチャンスと思って出ることにしました」とあいさつした。

累計興行収入は前作「Q」を上回り、現在までに70億円を突破した。自身が総監督を務めた実写映画「シン・ゴジラ」に追いつく勢いといい「80(億)ちょっといったら超えてくれる。僕の中でレコードなんです」と期待。100億円の大台達成は「アニメ業界の活性化にいいんです」とも話し、「『鬼滅(の刃)』や新海(誠)さんのところが100を超えるのは当たり前。こんなニッチなロボットアニメで100を目指せるのは本当にありがたい」と感謝した。

07年のシリーズ1作目「序」から14年かけ、最終作の公開となった。全ての作業を終えた瞬間の心境を聞かれると「終わった時は感謝ばかり。各セクションに行って頭を下げて『ありがとうございました』と言うのが僕の終わり」と振り返った。同作はミニチュアやモーションキャプチャーなどさまざまな技術を使って制作され、実写とアニメーションを掛け合わせた作風について「手で書いて済むものだけにしたくないというのが、『序』の頃からあった」と庵野氏。「実際に存在するものを切り取ることによって、アニメーションを作ることはなかなか大変なので他の人はやらないと思う。本当に大変なのでやらない方がいい」とも話した。

シリーズ制作途中で「シン・ゴジラ」を発表したが、「そのノウハウが生かせた。『シン・ゴジラ』がなかったら『シン・エヴァ』はこういう風になっていなかった。あの映画をやらせていただいてよかった」と語った。

庵野氏は「製作途中からコロナ禍に見舞われ、大変な時期が今も続いています。厳しい時期に映画館に足を運んでいただけていることをありがたいと感謝しています。本当にありがとうございます」。降壇後も3度頭を下げ、感謝を伝えていた。