昨年5、6月に予定されながら新型コロナウイルス禍で延期になっていた、ワハハ本舗の全体公演「王と花魁」は、10月28日から全国13カ所17公演が行われることが決定した。3度目の緊急事態宣言が今月31日まで延長が決定した中、全体公演にかける思いを柴田理恵(62)梅垣義明(61)ポカスカジャン大久保ノブオ(54)と主宰の喰始氏(73)に聞いた。全5回のラスト。

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梅垣 今回のコロナ禍で、それまで全く興味がなかったSNSも、舞台とは別にやっていかないとダメだなと思いました。

大久保 結構、すごいツイートしてるんですよ。

柴田 余計なこと言うのやめなさい。私にとっては、梅ちゃんは下ですから(笑い)。なんなら一番下ですよ。ライフライン止められた人間ですからね、コイツは。この間、NHKで貧困というテーマでやっていて、うちの人(夫)が「梅垣って水道止められたよな」って。「そうだったね。ライフラインを止められるって、よっぽどだよね~。梅垣はね~」って。電気も、ガスも止められて、水道は最後ですからね。

梅垣 上京したばっかりの時で、ワハハに入って1年くらいの時ね。

喰 梅垣は今、大変なんですよ。営業の仕事がたくさんあったから。それがコロナで、ほぼなくなった。

大久保 また水道止められるんじゃ(笑い)

柴田 私も若い時は大変だったけどね。その時ですよ。この人(梅垣)が「明日の仕事は何時ですか」って聞きに来て、流しで体を洗ってる私と目があった(笑い)。でも、私は流しで体を洗っていたけど、家賃も、ちゃんと払っていましたよ。

梅垣 俺は、柴田さんを先生って呼んでますから。

柴田 でも、若い劇団員の子たちは、コロナで大変なんだろうな。バイト先の飲み屋がダメになりそうになったけど、ランチとお弁当で何とかしのいでいるとか、テレアポの仕事をしている人は何とかなってるとか。

喰 コロナのおかげでポスティングの仕事のバイトは増えたらしい。仕事のある人も、ない人も運不運だね。

大久保 テレホンアポイントとポスティングはもうかっている。

柴田 あとは給付金がありがたかったという若手の話を聞きました。

喰 新宿のゴールデン街みたいな、1人でやってる店は給付金で逆にもうかったところもあった。だけど、ちゃんと申告してなかったところは、お金が降りてこない。

柴田 近所のコーヒー屋のおじさんが「1日に6万円も、もらっちゃって」と喜んでいた。いつも1日に2人しか客が来ないのにね(笑い)。

喰 行政が大変なことは分かるけど、エンタメに関しては、配信だけだと照明さんや音声さんが困る。生の舞台なら毎日の仕事だけど、配信だと1回きりで済んじゃうから。我々だけじゃなく、エンターテインメント産業に関わる人は、みんなつらい思いをしている。なんとか、この状況を変えて行かなくては。

(終わり)

◆ワハハ本舗(ほんぽ) 84年、東京ヴォードヴィルショーの若手だった佐藤正宏、柴田、久本雅美、喰氏によって旗揚げ。現在は複数のセクションがあり、猫ひろし、正司歌江、ウクレレえいじらが所属。バラエティー形式の公演で人気を集め、下ネタも多い。06年のNHK紅白歌合戦でDJ OZMAに、裸に見えるスーツを貸し出したことも話題となった。