米ロックバンド、ニルヴァーナ(NIRVANA)が91年に発表し世界的ヒットとなったセカンドアルバム「ネヴァーマインド(Nevermind)」のアルバムジャケットで、プールの中で全裸で泳ぐ赤ちゃんとして撮影された男性が、30年後になって「性的搾取」を主張してバンドを訴えていると、25日までに英BBCなどが報じた。

報道によると、男性の名はスペンサー・エルデン氏。ジャケットは、生後4か月の男の子が、プールの中で全裸で泳ぎ、目の前に釣り糸でぶら下げられたドル紙幣をつかもうとしている。男の子は全裸で、性器も写っている。現在30歳のエルデン氏は、彼の両親がアルバムで彼の画像使用を許可するリリースに署名したことは一度もないと主張。また、ヌード画像が児童ポルノであると訴えている。

カリフォルニアで提出された法的文書には、「画像はスペンサーの性的な身体部分を露出させ、彼が幼児の時から現在まで好色に表示した」と記された。乳幼児の性的対象外の写真は、通常、米国の法律では児童ポルノとは見なされないが、エルデン氏の弁護士は、ドル紙幣があることで未成年者が「セックスワーカーのように」見えると主張しているという。また訴えでは、ニルヴァーナが過去に性器部分をステッカーで覆うことを約束したが、その合意は実行されなかったとしている。

エルデン氏は、存命中のバンドメンバー、デイブ・グロール(ドラム)とクリス・ノボセリック(ベース)を含む15人それぞれに、少なくとも15万ドル(約1650万円)の損害賠償を求めているという。その中には、94年に27歳で自殺したボーカル&ギターのカート・コバーンさんの不動産の管理者や、歌手で妻だったコートニー・ラブも含まれるとしている。

ニルヴァーナとレコードレーベルはこれまでに、訴えに対して応じていない。

ニルヴァーナは89年デビュー。当初は北西部のローカルバンドだったが、「ネヴァーマインド」で大ブレークし、華美なイメージから脱却する硬派なロックのジャンル「グランジ」ブームの一翼を担った。同アルバムは世界で4000万枚を売り上げたと言われる。バンドはコバーンさんの死去に伴い、94年に事実上解散している。