脳科学者の茂木健一郎氏(58)が、話題となっている“親ガチャ”に関して私見を述べた。

「親ガチャ」とは、子どもは親を選ぶことができず、どんな親や境遇のもとに生まれてくるかは運任せだということを、カプセルトイなど商品の購入方法が抽選式となる「ガチャ」にたとえたもの。このワードについてはネット上でも賛否を呼んでいるが、茂木氏は15日、ツイッターで「『親ガチャ』という言葉を使うのが不謹慎だとか不愉快だと言っても、問題は解決しません。親の資質、経済力、学歴などがばらけるのは統計的に当たり前で、しかも何がいいか悪いかは簡単には決めつけられません」とした。

また、自身のYouTubeチャンネルにアップした動画でも“親ガチャ”問題について「なぜそんなに問題になっているかというと、結局、社会の側がちゃんと一人ひとりの子どもに対してちゃんと支援の手を差し伸べていないということがある」と言及。親の経済力など資質にばらつきがあっても、社会的な制度によって子どもたちが受ける格差を埋めることができるが、“親ガチャ”が叫ばれるようになった背景には受験をめぐる格差問題があると私見を述べた。

「そもそもペーパーテスト偏重の受験っていうのは問題ですし、それによって受験産業っていうのがはびこっている」と持論を展開。中学受験の低学年化や、受験に掛かる費用などの問題を挙げ、「塾に行って受験しないと、その後の人生のエスカレーターに乗れないみたいな社会って絶対におかしい」とした。

続けて「それぞれのご家庭が自分の子どもを一生懸命育てるということはもちろん良いですけど、そこに社会的な教育という視点を入れなければダメで、これは日本はできていないところ。だから“親ガチャ”という言葉が生まれる」と指摘。「子どもは社会全員で育てるという意識をもっと我々が持たないと。そのための国の政策だとか、チャリティー、子どもの育みのための芸術体験とかスポーツ体験とか、様々な経験が家庭環境じゃなくて社会全体で提供できる体制を作ることによって、自然に“親ガチャ”という言葉は無くなっていくと思う」とした。