シンガー・ソングライター山崎まさよし(49)が、デビュー25周年の締めくくりとなるアルバム「STEREO 3」の発売に合わせて、インタビューを行った。

オリジナルアルバムの発売は、これまで2~3年に1枚のペースで発表していた。前作「Quarter Note」は19年11月に発売。その間隔がやや狭まったのは、他でもない昨年からのコロナの影響があったという。ツアーがほぼ中止となり、物理的に時間ができたこと、25周年を控えていたことが相まって、アルバムづくりを始めた。山崎は「働かされました」と冗談をいうが、生みの苦しみも味わった。

そもそも山崎が曲作りを行うのも「ライブ」ありき。その「目的」がコロナによって一時的に奪われたことで、山崎ほどのキャリアがある人でも「ギターもピアノも、弾かなくなるんです。そういうのが断たれたら、人間本当に何もできない」と感じたという。

ここ最近は、自宅のスタジオで、ひとりきりで楽曲制作を行うことがほとんどだったというが、「独りよがりでやってきたけど、もう歳も歳だし、1人でやるよりは…」と、自らを見いだした森川欣信氏(現オフィスオーガスタ最高顧問)にアドバイスを請いながら、自らのアイデアを重ね、愛娘の声を取り入れるなど“家族の支え”もありながら、出来上がったのが「STEREO 3」だ。

「手を替え、品を替えでやれたりするんだな、と。でもまたこれで前例ができてしまうわけじゃないですか? 2~3カ月でアルバムが作れるって思われちゃうのは…」と話すのも、山崎ならではのスタッフへのご愛嬌(あいきょう)。根底には「やっぱり、いい歌を書きたい」というこだわりがあるのは、言うまでもないだろう。

音楽業界もまだまだ厳しい流れが続くが、山崎の歌の力が、また多くの人の心を豊かにしてくれるのも、間違いないことだろう。【大友陽平】