アニメ「ルパン三世」で半世紀にわたって務めてきたルパンの仲間、次元大介役を卒業する声優小林清志(88)が、9日深夜放送の日本テレビ系「ルパン三世 PART6」(土曜深夜0時55分)の初回「EPISODE0-時代-」で最後の出演を果たした。

この日は、次元にスポットが当てられた物語。次元は時代の変化を感じ、一度は泥棒稼業“卒業”を示唆。小林の卒業を重ねるかのようなストーリーだった。仲間の石川五ェ門がルパンに対し、次元を心配する言葉を発すると、ルパンは「時代が変わりゃ、自分も変わる。オレはそうやってきた。ただ次元大介って男だけは、そんなオレを黙って受け入れてくれた。あいつだけは変わらずにいてくれた。だからオレはオレでいられたのかもしれない。ならよ、あいつがどうしようが、黙って受け入れるのが筋ってもんだろう」と、次元に感謝。ルパン役の声優が山田康雄さんから栗田貫一に引き継がれるなどメインキャストが代替わりする中、小林は71年のアニメシリーズスタート時から次元役を一貫して務めてきており、その状況を重ね合わせるような言葉となった。

結局、次元はルパンの仲間で居続けることに。第1話の最後は、ルパンの「またうまい酒を飲もうぜ、次元」という言葉の後、小林の名前が刻まれたエンドロールと、次元の笑顔のカットで締められた。

冒頭では、ルパン、石川五ェ門とともに牢屋(ろうや)の壁にもたれかかった小林演じる次元が「とうとうオレも潮時かもしれねえな」というセリフで物語がスタート。ルパンが「どうした次元? いつになくセンチメンタルじゃねえか」と尋ねると、次元は「なんだか相棒との人生を振り返っちまったよ」とひとこと。“相棒”とは結局、押収された拳銃のことだったが、小林の最後を飾る粋なセリフで始まった。

次元役の後任は大塚明夫が引き継ぐ。大塚の父・周夫さんは五ェ門の声の初代を演じており、父子2代での出演となる。メインキャストであるルパン、次元、五ェ門、峰不二子、銭形警部の中で、小林だけがここまで代替わりせず次元の声を演じ続けていた。