米人気SFドラマ「スター・トレック」シリーズでジェームズ・T・カーク船長を演じた俳優ウィリアム・シャトナー(90)が13日、米テキサス州から打ち上げられた米宇宙開発企業ブルー・オリジンの宇宙船「ニューシェパード」に搭乗し、約10分間の宇宙飛行を楽しんだ。

90歳のシャトナーは宇宙飛行の最高年齢記録を樹立した。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が立ち上げたブルー・オリジンによる2度目の有人飛行で宇宙に行ったシャトナーは、地球に無事帰還後は感極まって涙を見せる場面もあった。

強風のため1日延期されて行われた今回のフライトにはシャトナーの他ブルー・オリジンの宇宙飛行担当副社長オードリー・パワーズ氏ら4人が搭乗し、地球と宇宙の境にある地上100キロメートルの「カーマンライン」を超えて宇宙空間に到達し、数分間の無重力状態を体験した。

カプセルはその後、大気圏に再突入してパラシュートを開いて地上に着陸した。地上でベゾス氏や搭乗者の家族らの出迎えを受けたシャトナーは、「宇宙空間は黒く、下を見下ろすと母なる地球がある。青く、美しかった」と声を詰まらせ、信じられない体験だったと興奮気味にコメント。「思い描いていたものと違ったが、(時間が)とても早かった。世界中の誰もがこの体験を行い、(宇宙を)見る必要がある」と感想を述べた。

ブルー・オリジンは、今年7月にベゾス氏ら4人が搭乗した初の有人飛行を成功させていた。米国では民間の宇宙旅行競争が激化しており、ヴァージン・ギャラクティックは7月に創業者のリチャード・ブランソン氏らを乗せた宇宙船の試験飛行に成功しているほか、先月は起業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXの宇宙船「クルードラゴン」も民間人のみが搭乗した初の宇宙旅行を成功させている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)