政府は26日、2021年度の文化功労者に、大手芸能事務所「ホリプロ」の創業者堀威夫さん(89)を選んで発表した。

堀さんは、選出されたことに「やっぱり悪運が強いなあ、と思いますね。長くやっていると、こういう良いこともあるのかな」と笑みを浮かべた。

バンドマンとして10年、芸能界の裏方に回って60年。トータル70年もの長きにわたって芸能界で生きてきた。「ホリプロ」を創立して今年で61周年を迎える。「若気の至りで大きな失敗をしないで、会社を立ち上げた人が生き残れる。別に才能があったわけでもなんでもないんです。若気の至りで、いろんな風にチャレンジして失敗した人は脱落していく。そういうことじゃないのかなと思います」。

和田アキ子(71)や山口百恵(62)などのスターを発掘し、育成に努めたほか、76年からは、自社オーディション「ホリプロタレントスカウトキャラバン」を実施して榊原郁恵(62)や堀ちえみ(54)など、数々のスターを輩出してきた。スターを育てる極意について問われると「歯、目、声のきれいさ」だと明かした。「音楽プロ(ダクション)だったので、歌を歌わせるという前提がある。声は、大きいのを小さく使えばきれい。歯はかみ砕く力が強いというのは健康に非常に良い。ビジュアルの面でも歯並びがいい人が良いに決まっている。目は、これから何かをしようとする、しでかしそうな人はキラキラしている」と提唱した。

これまでの人生、約8割を芸能界にささげた。改めて“エンターテインメント”の位置付けについて問われると「生存必需品だと思う」と力を込めた。「生活必需品は米、みそ、しょうゆ。でも先輩のあるレコード会社の大先輩が言っていた、名言だと思うんですけど、(エンターテインメントは)生存必需品なんだと思います」。

昨年6月には、全ての役職を退任したが、今後の「ホリプロ」について、どう見据えているのか。問われると、「これからの世の中がどう変化していくか、僕の古い頭では予想が出来ない。なので、多くは望みません」とし「今、現役でホリプロの経営に携わっている人たちが、正しいと思ったことを真面目に、愚直に進めてもらうだけでいい。それで結果が『どうも昔、ホリプロはタレントがいたらしいよ』っていう会社に変わってもいい。変化に対応できないと生き残れませんから」と淡々と話した。

◆文化功労者 日本において文化の向上・発展に大きく貢献した者をいう。文部科学大臣が毎年、候補者の選考を文化審議会に諮問し、選考された者のうちから同大臣が最終決定する。