お笑いコンビ「さらば青春の光」のオフィシャルYouTubeチャンネルがじわじわと話題になっている。単純に企画が面白いだけではなく、時事ネタを織り交ぜ、“しがらみ”の少ない個人事務所所属の特性をうまく生かしている。スタッフを含めた「チーム力」も強い。

18年にスタートした同チャンネルは、50万人弱の登録者を抱える人気チャンネル。主な再生数が多い動画は、森田哲矢(40)が、相方の東ブクロ(36)のバイクや愛車を金のスプレーで染め上げるドッキリや、“本業”であるコントネタのものだ。

これだけなら普通の芸人チャンネルなのだが、他にもさまざまな独自の企画に挑戦している。ギャンブルや下ネタを切り口とした“いかにも”なものから、最近では「間違えたら超失礼! この芸能人逮捕されてる? されてない? クイズ!!」と題したゴシップ要素のある企画など、多岐にわたっている。

メインのチャンネルだけではなく、いわゆる「サブチャンネル」も好調だ。今年5月に立ち上げた「裏さらば」チャンネルは、所属事務所が拠点を置く東京・五反田のグルメをゆる~く紹介したり、新潟ライブの舞台裏を披露するなどの企画が人気で、登録者数15万人を突破。DIY企画をメインに動画を投稿している「五反田ガレージ」(登録者数12万人超)も地道に更新を続けている。

基本的にメインチャンネルの更新は毎週土曜日。大手芸能事務所の関係者も「『さらば』のYouTubeは週末の楽しみの1つ」と話していた。もともと、「キングオブコント」と「M-1グランプリ」でも決勝進出するなど結果を残しており、地力はある。再生回数も確実に伸びてきており、さらに話題が広がっていきそうだ。

08年結成のさらば青春の光はもともと大手芸能事務所に所属していたが、折り合いが付かずに13年3月に契約解除。拠点を大阪から東京へ移し、同年10月に芸能事務所「ザ・森東」を立ち上げた。関係者によると、東ブクロの不倫騒動のために所属事務所が決まらなかった部分もあるという。ただ、当時日刊スポーツの取材に応じた東ブクロは、フリーで活動している理由について「自分たちで決めたこと」と答えていた。

大手芸能事務所と個人事務所を比べればさまざまなメリット、デメリットがあるが、少なくともさらば青春の光に関しては個人事務所の利点を最大限に生かしている印象だ。YouTube内でも他事務所のタレントのキワドイ話題や、スレスレの下ネタも使っていく。編集の技術もあるのだろうが、大体が「完全アウト」ではない範囲で収まっており、“ギリギリ”の線引きがうまい。

瞬発力もある。10月5日には、仲のいい女性お笑いコンビ「Aマッソ」の加納(32)と村上(33)が結婚していたことを発表したことを受け、YouTube上で「緊急生謝罪」と題した動画を配信。YouTubeチャンネルの企画で、東ブクロが村上とキスしていたことを“謝罪”した。物理的な時系列から見てもとっさの思いつきでの配信だったとみられる。

直後には都内でラジオ番組の収録をしているAマッソのもとに直行。加納や村上を質問攻めにし、軽妙なトークでファンを沸かせた。このあたりのフットワークの軽さも、比較的“しがらみ”の少ない個人事務所所属ならではの荒業だろう。

マネジャーのヤマネ氏をはじめ、動画にしばしば登場する作家やカメラマンにも絶対の信頼感とあうんの呼吸を感じる。今年4月、東ブクロに女性トラブルが“再び”報じられた際、森田は事務所の社長として公に謝罪を発表。動画内でも「今どんだけこいつに迷惑掛けられているか…」と悪態をついていたが、チャンネルのコメント欄では「何があってもブクロを愛して止まない男達」など前向きな声も多かった。根強いファン含めて、「チームさらば」の結束は強い。

最近ではお笑いコンビ「ラランド」や「シンクロニシティ(現在コンビ活動は休止中)」など、「M-1グランプリ」でも結果を残すような芸人の中にも個人事務所所属やフリーで活動する若手が増えてきている。さらば青春の光は、はからずも彼らの“はしり”的な存在と言っていいのかもしれない。【横山慧】