大みそかに行われる「第72回NHK紅白歌合戦」の出場者が19日に発表された。

発表会見後、取材に応じた一坊寺剛チーフ・プロデューサー(CP)は「今年は東京国際フォーラムで行うことになってまして、いつもとかなり違う状況で進めなければならない。この1年は緊急事態宣言で、ジェットコースターみたいだった。その締めくくりに、少しでも来年がいい年になるような放送ができれば」と意気込みを語った。

取材会では初登場出演者の印象、テーマへの思いなどさまざま語ったが、一段と気持ちがこもったのが会場の話題だった。

NHKホールが来年6月まで改修中のため、今年は初めて東京国際フォーラムで開催される。「会場の変更は困難な挑戦か」と聞かれると、一坊寺CPは「本音言ってもいいですか? めっちゃつらいです」と苦笑交じりに明かした。会場の違いはもちろんのこと、物理的な距離に苦労している様子で「今までそこ(NHKホール)でやってたから、どんだけありがたかったか楽だったか」としみじみと語った。音楽番組「うたコン」も同所から生放送しており、会場そのものの良さは熟知。「多分、後にも先にもフォーラムさんでできることはないんじゃないかと思っている。環境を生かした素晴らしいものができたら」と前向きに語った。

紅白がNHKホール以外の会場で開催されるのは、49年ぶり。かつて有楽町にあった日本劇場、72年までは同じく東京宝塚劇場で行われており、場所にも縁を感じているようで「エンターテインメントの殿堂が集う有楽町に、すごく久しぶりに戻ってくるということ。ある種の宿命と言いましょうか、東京国際フォーラムにいるからできること、そして皆さんに楽しんでいただけるものを作りたい」と話した。

取材する側にとっても、今後ないであろう東京国際フォーラムでの“紅白体験”は貴重になりそうだ。無事成功することを祈りたい。