YouTubeチャンネル「河田町姉妹のおしゃべりワイドショー」を開設した、元フジテレビの平野早苗リポーター(65)と小柳美江リポーター(66)を取材した。同局の朝のワイドショー「おはようナイスデイ」「とくダネ!」で長らく活躍したおふたりだ。平野さんは女性問題で不祥事を起こした男性芸能人への厳しい質問、小柳さんはインタビューの名手として知られる。

「コンプライアンス」や「個人情報」という言葉で、テレビの制作が難しくなって久しい。バラエティー番組以上に厳しくなって、変わらざるを得なくなったのがワイドショー。いや、今やテレビ局の人間が「ワイドショーと呼んでくれるな、情報番組と呼んで」と言うほど、古き良き時代のワイドショーは遠い昔のものになっている。

今や、芸能人の実家の親に直撃取材をかけるのはご法度だが、昔は基本中の基本。緒形直人、仙道敦子の結婚前は、何回も実家に通った。相手をしてくれたのは、直人のおじいさん。つまり直人の父の故緒形拳さんのお父さんだ。名優緒形拳の父親と話していると思うだけで、気持ちが高ぶった。

今年の夏、野々村真が新型コロナウイルスに感染した時に、一番に思い出したのは野々村のお父さんのこと。今の夫人の坂上利恵と熱愛中、ワイドショーとスポーツ紙は、ことあるごとに都内で青果店を営んでいた野々村の実家に通った。お父さんは店先でぬかみそをかき交ぜながら、息子の幸せを願う心情を話してくれた。殺伐としたワイドショーの中でなごませてくれる名物だった。

駄目元で古村比呂と交際中だった布施博の実家を訪ねたら、お父さんが出てきて「話しちゃ駄目なんだけど、せっかくだからお茶でも飲んでいって」と家に上げてくれた。そして「結納代わりに描いた」という古村の肖像画の油絵を見せてもらって、写真も撮らせてもらいスクープに結びついた。

そんな古き良き時代の話を平野さんと小柳さんとして「昔は直撃に行くと、編成の上層部からストップがかかることなどもあった」等と聞いたが、今は最初から直撃できない。

ワイドショーのクルー、最低でもカメラ、ディレクター、音声を出すと20万近い経費がかかる。ワイドショーの芸能デスクから、渦中の芸能人の住所を教えてもらって様子を見に行くのも、スポーツ紙の駆け出し芸能記者の仕事だった。「電気はついてませんが、外の電気メーターは回っているから、中にいるものだと思われます」と、クルーを出すべきか、否かの報告をしたのも懐かしい。

そんな昔話に話が弾み、ここでは書けない話題が次々と出てきた。現在進行形の話では、昨年暮れのグダグダ会見から復帰を果たせていないアンジャッシュ渡部建と、不倫騒動から復帰へ向けての最中に女性問題を起こした東出昌大の今後について盛り上がった。平野さんは昨年3月に会見した東出に「杏さんと唐田さんのどちらが好きですか」と“芸能史に残る質問”を突きつけただけに、その後も成り行きをじっと見守っている。

楽しすぎて1時間の取材予定が2時間半になってしまった。河田町時代のフジテレビの“世界一スターのサインが多い”立ち食いそば屋「そば八」から、前忠さんこと前田忠明さんや今年2月に亡くなった名物芸能デスクだった松本雄峰さんのことまで盛りだくさん。聞き上手、しゃべらせ上手のおふたりの前で、2時間半のうち2時間は記者がしゃべりまくっていたのだが(笑い)。

YouTubeどころかネットすらもない時代のワイドショーはエピソード満載だ。「河田町姉妹のおしゃべりワイドショー」を楽しんでいこうと思っている。