米アカデミー賞の前哨戦として知られる第79回ゴールデン・グローブ賞が9日(日本時間10日)に発表され、濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」が非英語映画賞(旧・外国語映画賞)を受賞した。邦画としては、市川崑監督の「鍵」以来、62年ぶりの快挙となった。

スティーブン・スピルバーグ監督のミュージカル映画「ウエスト・サイド・ストーリー」がコメディ・ミュージカル部門の作品賞に輝き、レイチェル・ゼグラーが主演女優賞、アリアナ・デボーズが助演女優賞に輝いた。スピルバーグ監督は、監督賞受賞は逃した。また、ドラマ部門の作品賞は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が受賞した。ニコール・キッドマンが「愛すべき夫婦の秘密」でドラマ部門主演女優賞に、ウィル・スミスが「ドリームプラン」で同部門主演男優賞に輝いた。

ハリウッド外国人記者協会(HFPA)が主催するゴールデン・グローブ賞は、毎年ノミネートされた俳優らがディナーを楽しみながら授賞式が進行することで知られ、授賞式の模様はNBCテレビで生放送されていた。

しかし昨年、HFPAを巡って約90人の会員に黒人が1人もいないことが発覚し、多様性の欠如が指摘され、人種差別的だと批判を浴びたほか、女性差別発言や会員の接待疑惑なども浮上したことで一大スキャンダルに発展。女優スカーレット・ヨハンソンらがセレブやアマゾンやネットフリックスなど大手スタジオがボイコットを表明したことを受け、今年は無観客でテレビ中継もない異例の授賞式となった。

レッドカーペットも行われず、会場にはHFPAの会員と賞を受けとる関係者のみが招かれ、受賞結果は公式サイトとSNSでのみ発表。華やかな授賞式の雰囲気は皆無で、完全なプライベートイベントとしての開催となった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)