前向きなパワーが印象的だった。吉本興業が手掛け、広井王子氏(67)が総合演出を務める「少女歌劇団ミモザーヌ」。

1月9日に東京・港区の草月ホールで行われた冬公演「Winter Story~きくたまこと卒団公演~」を観劇した。昨年11月に芸能記者に復帰し、今回が初観劇。若い少女たちが懸命に歌い、演じる姿はすがすがしく、終演後はとても朗らかな気持ちになった。

メンバーは11~20歳までという制限があるため、ほとんどが10代の女の子たち。歌劇が好きで入ってきた子が多く、すでにミュージカルなどに出演経験がある者もいる。そんな彼女らを広井氏はじめ、舞台監督の岩本幸也氏や、世界的なダンスカンパニー「コンドルズ」の古賀剛氏ら一流のスタッフが支える。結成から約3年がたち、広井氏も公式インタビューで「やっと劇団としての形ができてきた」と語っている。

歌劇ゆえ、ただ歌うだけでも、演じるだけでもない。今回で卒団となった最年長の、きくたまこと(20)はミュージカル「アニー」などへの出演経験があり、さすがのせりふ回しや歌唱力を披露。同じく舞台出演経験のある、すずきみあいムェンドワ(16)も力強い声量でソロ曲を堂々と歌いきった。第1部と第2部の間には応援ゲストとして吉本芸人も登場。観劇回では尼神インターが出演し、ネタ披露のほか、メンバーとミニゲームで対決するなどして盛り上げた。

そのほか終盤に披露した「動かなかったこころの時計」では、まだ13歳の、みやはらにこらアクロバットが得意なメンバー6人がバック転や側転などを披露しながらパフォーマンス。これでもかとステージでグルグルと回り続け、喝采を浴びた。

メンバーは学校が休みになる土日を利用して集まり、レッスンに励んでいる。今回の公演に向けては体幹トレーニングなど基礎的な身体強化から全員で見直し、厳しいレッスンの中で技術を磨いてきた。公演では全員が一生懸命に曲の意味や気持ちを表現しようとしているのが伝わり、グループ全体が和気あいあいとした雰囲気に感じられたことも良かった。現在、4期生も募集中で、どんなタレントが加わるかにも注目だ。

コロナ禍の影響で有観客での公演が実現したのが昨年8月。今回がまだ2度目の有観客開催で、公演は東京、大阪で2回ずつの計4度しか行っていない。さらに回数を増やして観劇者が増えていけば、さらなる反響も期待できるのではないだろうか。初めて見たミモザーヌの少女たちは、劇団が掲げるテーマの通り、清く、明るく、麗しかった。【松尾幸之介】

 

◆少女歌劇団ミモザーヌ 広井王子氏が総合演出を手掛けるレビューカンパニー。メンバーは11歳以上で20歳を迎えると卒業となる。18年に1期生のオーディションが行われて、応募総数736人から14人が選ばれた。現在は1~3期生、研究生の計26人が所属。20年12月30日に配信で旗揚げ公演を開催した。グループ名は花の「ミモザ」に由来し、ミモザの花言葉は「友情」「優雅」ともいわれている。