是枝裕和監督(59)率いる映像制作者集団「分福」の新人・川和田恵真監督(30)の商業デビュー作となる日仏合作映画「マイスモールランド」(5月公開)が、世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭(2月10~20日)ジェネレーション部門に正式招待されることが決定した。同映画祭事務局が14日、発表した。

「マイスモールランド」は、クルド人の家族とともに幼い頃から日本で育つ17歳のサーリャが、あるきっかけで在留資格を失い、同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた自身と、家族の日常が一変してしまう。サーリャが、そんな過酷な環境な中、東京に住む日本人の少年・聡太との出会いをきっかけにアイデンティティーに葛藤しながらも、成長していく物語。

日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアの5カ国のルーツを持つ「ViVi」(講談社)専属モデルの嵐莉菜(17)が主人公のサーリャ役で映画初出演&主演を務め、20年の映画「MOTHER マザー」で俳優デビューした、奥平大兼(18)が聡太を演じる。

嵐は「初めて本格的なお芝居に挑戦させていただいたこの作品が、ベルリン国際映画祭で上映されることが決まり、本当に光栄です。私自身、ドイツにルーツがあるので、とてもご縁を感じ、うれしいです。大好きな国でこの作品がどのように評価されるのかすごく緊張しますが、それと同じくらいとても楽しみです」と喜んだ。

奥平は「自分が携わった作品が、このような素晴らしい舞台に行けることが、とてもうれしいですし役者としてすごく刺激になる出来事です。ベルリン映画祭をきっかけに『マイスモールランド』が世界中の、たくさんの人に見てもらえるようになれば良いなと思います」と期待した。

川和田監督は、是枝監督の17年「三度目の殺人」で監督助手、是枝監督とともに分福に所属の、西川美和監督(47)の21年「すばらしき世界」でメーキングを担当するなど、多くの現場で研さんを積んできた。

ベルリンでの上映がワールドプレミア上映となることに「歴史あるベルリン国際映画祭に『マイスモールランド』をご招待いただいたこと、大変光栄に思います」と喜んだ。その上で「初監督にもかかわらず作品を信じ、参加してくださったキャスト・スタッフの皆さん、そして、不安な状況に置かれながらも温かくご協力をしてくださった在日クルド人の皆さんに、この場を借りてお礼を申し上げます。映画とともに、込めた思いを届けてゆきます」とコメントした。

ジェネレーション部門は、ベルリン映画祭で1978年(昭53)に立ち上げられた、子供や青少年の人生と世界を探究する映画が紹介される部門。20年には韓国映画「はちどり」(キム・ボラ監督)が14plus(ティーン向け)グランプリを受賞するなど例年、フレッシュな作品がそろう注目の部門。「はちどり」は同年末の日刊スポーツ映画大賞でも外国作品賞を受賞している。