NHKは10日、東京・渋谷の同局で、BS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」における字幕問題について会見を行い、調査結果を報告した。これまで確認が取れず「不確か」としてきた字幕の内容を、「誤りだったと判断した」と説明した。

同局は12月放送の同番組において、ある男性が五輪反対デモに金をもらい動員されたと裏付けのないまま字幕を付けて放送。問題化した1月以降に行った男性への聞き取りではデモに参加した事実確認がとれず、これまで字幕を「不確かな内容」としてきた。

調査チーム責任者の松坂千尋専務理事は、2月上旬に改めて男性にヒアリングをした結果、男性の記憶があいまいだったとし「調査チームとしては五輪反対デモに参加したと確証は得られなかったので、字幕の表現は誤りだったと結論づけた」と述べた。

番組を担当した大阪放送局のディレクター、チーフ・プロデューサー、専任部長や上司ら6人の懲戒処分も発表。大阪放送局長の角英夫専務理事は、役員報酬の一部を自主返納した。角専務理事に対しては、前田晃伸会長が厳重注意を行うとともに再発防止の徹底を指示したという。

この日午後7時からの「NHKニュース7」でも字幕が誤りだったことを伝え、担当者らの懲戒処分を報じた。明日11日の「BS1スペシャル」(深夜1時3分放送)内でも調査結果についておわびの映像を流すという。