阿部寛(57)が17日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた映画「とんび」(瀬々敬久監督、4月8日公開)完成披露舞台あいさつで、口からアルコール度数90度の酒を吹いた超人ぶりを共演陣から暴露!? された。

撮影はコロナ禍の中、20年12月に岡山で行われ、阿部は劇中で、日本一不器用な男・ヤスを演じた。司会が撮影中のエピソードを問うと、息子のアキラを演じた北村匠海(24)がラストの酒場のシーンで、阿部が口から酒を吹いたと明かした。

北村は「阿部さんが、とても度数の高い本当のお酒を…。つばが飛ぶよりか、アルコールを出した方が消毒にも良いだろうという配慮があり、お酒というか燃料みたいなアルコールを(吹いた)。飛距離もすごく、役者魂を感じた。お酒のにおいが…すごかったです。本当に、すごいなというか、言葉は悪いですけど、この人。正気か? と思った」。

阿部は「時期が時期でしたので、水でやると、その後、皆さんが1回、1回、消毒になる。考えて…90度くらいのお酒なら、逆に消毒になるかな。飛まつも、もしかしたら少しは弱まるんじゃないかと、やりました」と、コロナ禍での撮影でアルコール消毒をしなければならない現状を踏まえ、口からアルコールを吹いたと笑いながら明かした。

阿部演じるヤスの姉貴分の小料理屋「夕なぎ」のおかみ・たえ子を演じた薬師丸ひろ子(57)は「阿部さんが、見事に口から吹く。こんなに吹ける人がいるんだと…。阿部さんは配慮してくださっているんだろうけど、それに、どれだけ意味があるんだろうと…そのうち、私を目標物にしてかけているような感じで」と笑った。

安田顕(48)が演じた、ヤスの幼なじみで薬師院の跡取り息子・照雲の妻幸恵を演じた大島優子(33)は、阿部がアルコール度数90度の酒を「こっそり自分で買ってきたっぽい」と明かした。阿部は「(現場入りが撮影)前日だったので(スタッフに)用意させるのは大変じゃないですか。現場にちょうど居酒屋さんがあって、この中で一番、度数の強いの下さいと言ったら『1つは90度、1つは70度』と言うので2つ、下さいと。ブレンドしてやりました」と認めた。

「とんび」は、直木賞作家・重松清氏の同名小説の映画化作品。瀬戸内海に面した備後市で、ヤスは幼い頃に両親と離別し、家族は何よりの憧れで愛する妻・美佐子の妊娠にも、うまく喜びを表せなかった。アキラと名付けた息子のために運送業者で懸命に働くも、ようやく手にした幸せは妻の事故死によって打ち砕かれる。悲しみに沈むも、人情に厚い町の人々に叱咤(しった)激励され、彼らの温かな手を借りてアキラを育ててゆく。ある日、誰も語ろうとしない母の死の真相を知りたがるアキラに、ヤスはウソをつくという物語。

舞台あいさつには、出版社に勤める編集者でアキラの婚約者・由美を演じた杏(35)とヤスの妻でアキラの母・美佐子を演じた麻生久美子(43)も登壇した。