その年に公開された最低映画や俳優に贈られるラジー賞ことゴールデンラズベリー賞が先月31日、失語症と診断されたことを理由に引退を表明したブルース・ウィリス(67)の受賞を取り消すと発表した。

Usウィークリー誌への声明で明かしたもので、同賞の共同設立者ジョン・ウィルソン氏とモー・マーフィー氏は「誰かの病状が彼らの意思決定や演技の要因になっているのなら、そうした人にラジー賞を与えることは適切ではない」と説明している。

ラジー賞は毎年、アカデミー賞の前日に発表されており、今年は3月26日に授賞式が行われていた。今年のラジー賞では、2021年に8本の映画に出演したウィリスのための特別賞「ブルース・ウィリスが演じた2021年のワースト演技賞」が設置され、8作品の中からSFアクション「コズミック・シン」が最低演技に選ばれていた。

ウィリスの妻と元妻で女優のデミ・ムーア、5人の子供が連名で同30日、認知能力に影響を及ぼす失語症と診断されたことを受け、俳優業を引退すると声明を発表。ロサンゼルス・タイムズ紙は、この発表を受け、2020年頃から認知能力の低下によって撮影が困難になることがあり、出番やセリフを減らすなどしていたと伝えている。

ラジー賞は、「失語症と診断されたことを心から残念に思う」とツイートし、ウィリスと家族にエールを送るとともに、この事実を知ったのは世間の人たちと同じ30日だったと投稿。特別賞が設けられることになった時点では病気については知らなかったと強調した。(ロサンゼルス=千歳香奈子)