俳優、司会者として活躍した柳生博さんが16日、老衰のため山梨・北杜市の自宅で亡くなった。85歳だった。

柳生さんがオーナーを務めた八ケ岳倶楽部で、立ち上げの頃から一緒だったという従業員は「初めて会った時は腰に鋸を差して、長靴を履いたワイルドな姿で、話すとおおらかな人でした」といい「スタッフを身内のように大事にしてくれて、怒ることがなかった。人のいいところを探してくれて、褒める人だった。昔はみんなで賄いも食べていました」と当時を懐かしんだ。

亡くなる少し前からテレビをずっと見ていて、お店に来ないこともあったという。思い出を振り返り「28年一緒に働いていて、柳生さんは大恩人であり、わがままを言うので、大悪人でした。だけど、人に無理をさせて、その人の能力を高めることを意図的にやっていたのかもしれないです。そのおかげで、大きくなった人がいます。柳生さんの奥さんは施設にいて、コロナ禍で当分会っていないので、それも心の張りがなくなった原因かもしれないですね」と明かした。

40年来の知り合いで、家族ぐるみの付き合いだという男性は亡くなった次の日に、顔を見に行ったと明かした。「サイクリングで迷子になった時に、道を教えてくれたのが柳生さんだった」。柳生さんの人柄について「屋根の上から声をかけてきたり、ずっと土をいじっているような、自然が好きで、まったく裏表がなくて、自分にとっては一番気さくな有名人でした。地元でも愛されていました」と明かした。【加藤理沙】