河瀬直美監督(52)が手掛けた東京五輪公式記録映画「東京2020 SIDE:A」が、カンヌ映画祭(フランス、17日開幕)クラシック部門で上映されることが決まった。映画祭事務局が2日(日本時間3日)発表した。

映画史に残る名作の復刻版の紹介を目的に04年に始まった部門で、13年に小津安二郎監督の「秋刀魚の味」(62年)、15年に黒澤明監督の「乱」(85年)など劇映画の名作を上映。14年に市川崑監督が手掛けた64年の東京五輪記録映画「東京オリンピック」(65年)も上映された。

河瀬監督は「ドキュメンタリーであり五輪文化遺産財団で永久に保存される作品。文化遺産としての映画を選ぶ部門に新作にもかかわらず選んでいただいたのは、この映画に託された時代の証言を未来永劫(えいごう)100年先までも語り伝えたいと評価してくださった表れ」と喜んだ。

「東京2020」は18年秋に公式記録映画の監督に就任した河瀬氏が、コロナ禍での1年の延期を経て昨年7月の開幕前にバッハ会長に2本立て構想を提案。選手中心の「SIDE:A」と市民、ボランティア、医療従事者ら非アスリートを描く「SIDE:B」を6月3、24日と連続公開する。

映画祭事務局は「パリ大会でも継続される公式記録映画に敬意を表した」と、24年のパリ五輪を見据えての上映だと示唆。市川監督ら8監督が製作したミュンヘン五輪公式記録映画「時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日」(73年)も併せて上映する。【村上幸将】