稲葉友(29)が12日、東京・シネクイントで行われた主演映画「恋い焦れ歌え」(熊坂出監督、27日公開)舞台あいさつ付き先行上映で、長編映画に初主演した感慨を口にした。

「恋い焦れ歌え」は、熊坂監督が原作も担当した完全オリジナル作品で、稲葉は清廉潔白な小学校臨時教員・桐谷仁を演じた。正規教員の道も開かれ、順調な人生を送っていたが、ある夜、覆面の男に襲われて身も心も陵辱され、深い闇へと突き落とされる。激しいトラウマを抱えながらも、収入格差のある妻・仁美(さとうほなみ)との結婚生活とキャリアのため、変わらぬ日常を送っていた矢先、遠藤健慎(21)演じる謎の青年KAIが現れ、心の傷を容赦なくえぐり、ラップで表現するよう執拗(しつよう)に挑発されたせいで、仁の日常は再び狂い出す。

稲葉は「脚本の段階で、うねりを上げるようなパワーが満ちあふれていた。どう飛び込めるか…皆さんに怖がる自分を支えてもらった」と、台本を最初に読んだ印象を語った。演じた役どころについては「衝撃的なことが身に降りかかるシーンが、たくさんある。役として生きる時間が大変であればあるほど、皆さんが支えてくれて」とキャスト、スタッフに感謝した。

その上で、覆面の男に襲われ、性被害を受けるシーンを振り返り「性被害を受けるシーンも、短いシーンだからこそ役に必要で、すごく時間をかけて撮ってくれた。全員が作品のために動いてくれる時間なんだろうと」と、周囲への感謝の言葉を繰り返した。

1000人のオーディションから抜てきされた遠藤は「うまくしゃべること、言語化が苦手なんですけど…。今日、来てくださった皆様、日ごろから応援してくれているみんな。あと、来てるのか分かんないんですけど…親」と客席に呼びかけた。その上で「まぁ、心配しないでください。息子は東京で達者にやってます。これから先、もっと、みんなの目に触れて行けるように、努力します」と客席に語りかけた。

それを隣で聞いていた稲葉も「健慎の親御さんが、いらっしゃっているのであれば…あなたの息子さんは最高です」と客席にメッセージを送った。