人間国宝で歌舞伎俳優澤村田之助(さわむら・たのすけ)さん(本名山中宗雄=やまなか・むねお)が23日午後9時46分、肺炎のため、都内病院で亡くなった。89歳。葬儀・告別式は家族葬で執り行う。喪主は妻山中忍(やまなか・しのぶ)さん。

ここ数年は体調不良もあって舞台から遠ざかっており、最後の舞台は14年5月歌舞伎座「矢の根」の曽我十郎だった。5代目田之助の長男に生まれ、41年3月歌舞伎座「伽羅先代萩」で4代目澤村由次郎を名乗り初舞台。64年に6代目田之助を襲名。品格と風格のある女形として活躍し、後年は二枚目立役や老け役まで幅広く演じた。

02年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。好角家としても知られ、03~13年に日本相撲協会の横綱審議委員会委員を務めた。13年旭日小綬章。